まぐこ

硫黄島からの手紙のまぐこのレビュー・感想・評価

硫黄島からの手紙(2006年製作の映画)
4.0
硫黄島の戦いを日米双方の視点から描いた「硫黄島プロジェクト」、米視点の「父親たちの星条旗」に続く日本側の視点で描かれたのが「硫黄島からの手紙」です。

「父親たちの星条旗」とは違い、1945年〜現代までを交錯する描写はなく、あくまでも硫黄島の戦い(1945年)を主軸にしています。またアメリカ映画でありながら全編(一部を除き)日本語。
「父親たちの星条旗」で星条旗がキーになるように、「硫黄島からの手紙」では手紙がキーとなります。

この映画で描かれるのは戦争の惨たらしさ、戦場で生きるという選択のむずかしさ、米兵と日本兵は全く違うようで違わない実態であると思います。特に「米兵と日本兵に違いはない」、これに関しては監督のクリント・イーストウッドも感じたらしいです。

<ネタバレ>
栗林閣下の退却の命令を無視し、誉のために仲間が自爆していく中、西郷と清水は「生きる」ことを選択します。当時の考え方では、それは恥じるべき行為でありました。
生きるためアメリカに投降した清水が、助かると安堵した矢先、見張りの米兵に軽率にも撃ち殺されてしまうシーンは涙が止まりませんでした。視聴後もそのシーンが鮮明に残り、やるせなさを覚えました。

また、最後に日本兵たちが書き留めた家族への手紙が画面いっぱいに映るシーン。描き切れない一人ひとりのドラマが感じられました。


当時、アメリカではまったく上映されなかったが評価は上々であったと知り、なんとも複雑な心境です。日本の継続した平和学習も大切ですが、日本側の視点だからこそアメリカや他の国に見てもらいたい作品です。
まぐこ

まぐこ