ぽ

硫黄島からの手紙のぽのネタバレレビュー・内容・結末

硫黄島からの手紙(2006年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

無彩色に近いトーンの暗さが印象的な、戦争を美化していない映画だった。(家庭のシーンなど、温かみのあるところでは色があったように感じた)

集団自決するところ、もう見ててめちゃくちゃ辛かった。
今だから、「そんなこと意味ない!」って思えるけど
当時もし生きていたら、あの場にいたら、そう思えるか?自信は全くない
多分私もみんなに倣って自決してた

加瀬亮の犬のシーン辛かったなあ、、
頼むから吠えないでと思った、、
あの上司はなんの躊躇いもなく殺したけど、多分別に悪い人なわけじゃないんだと思う

ナチスの裁判の映像で、ホロコーストの責任者が、自分がいかに任務を効率よく遂行したかを熱弁しているのを見たのを思い出す。
疑問を持たずに一生懸命何かに取り組むことは大切なことだけど、よくよく考えないと、とんでもないことにもなりかねない。

ニノと加瀬亮が一緒に投降しようとするシーン、二人とも助かるかと思ったら加瀬亮があっけなく死んでしまって。。
そういうところに、リアルさを感じた。

アメリカが5日で終わらせる予定だった、1か月にもわたる硫黄島での戦闘。

司令長官のための食事がしまいにはミミズ、、

殆ど飲まず食わずで、アメリカ兵に死者を7000人も出した日本兵。。褒め称えるべきでは決してないけど、並大抵のことではない。(日本兵の死者は1万8000人)

ちょうど同じタイミングで見た別の映画が世界大戦前後のアメリカを描いたものだったのだけど、国の豊かさ、暮らしのレベルのあまりの違いに驚いた。日本ではパン屋の商売道具でさえ供出になってしまうのに。

ニノのように合理的に考えられる人というのは少数派ながらも必ずいただろうし、ニノは生き残れたけれど、生きて帰りたいと願いながら死んでいった人を思うとやりきれない。

こんな時代が、国が人殺しを容認していた時代が、たった76年前。

いつの時代も、何が正しいかなんて分かったもんじゃない。
ぽ