かさのや

硫黄島からの手紙のかさのやのレビュー・感想・評価

硫黄島からの手紙(2006年製作の映画)
3.4
散るぞ悲しきって本だけ先に読んだ事があり、それも硫黄島での栗林の手紙の話だ。
だからこの映画は、本と同じ様に日本の早期終戦交渉を嘆願しつつ、それが叶うまでの期間、敵を倒すためでは無く、それ以上にとにかく粘るための驚異的な戦法を取り続け、家族を想い続ける男の戦いを描くーーー、的な話かと思ってたんですが、そうではない。

どうやら視点としては二ノ宮演じる硫黄島の臆病な下っ端兵士が軸らしく、そこから大日本帝国の思想に染まりきった上司に辟易したり、自決行為にちゃんとドン引きしたり、それに比べりゃ栗林のなんとマトモな事か。と感じたり。

数少ない今風な考えを持つ下っ端視点で硫黄島の厳しさと栗林を見る、という感じでした。

下っ端視点が加わった事で、硫黄島の戦いでの戦略的な要素や泥沼感、特に栗林の考え方の掘り下げなどは物足りなさを感じましたが、硫黄島で戦端が開かれるまでの兵士の過酷な環境や、切羽詰まった状況でのバンザイ系上司の鬱陶しさなどは分かりました。
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