つっきー

余命10年のつっきーのネタバレレビュー・内容・結末

余命10年(2022年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

小松菜奈ちゃんが好きで、なおかつ藤井監督の作品とのことで初日に鑑賞しました。原作は未読であらすじは紹介動画を観た程度。

タイトルから概ねの予想ができる王道のストーリーでしたが、悲しみの描きかたにやられてすごく泣きました。嗚咽しそうになるのを我慢しなきゃいけないほど映画館で泣いたのは久しぶりでした。

まず印象に残ったのは、和人が部屋から飛び降りるシーン。親との確執や仕事の解雇に至る詳細な説明はなかったですが、自分はいなくてもいいと思った人が地面に吸い込まれるように飛び降りる描写が心に残ってます。人がいなくなりたいと思った時は側から見たらこうも唐突な感じなのか、と。

映画を通して、小松菜奈ちゃん演じる茉莉の家族が茉莉のことを気遣うのに対し、茉莉は気丈に振る舞ったり、衝突したりすることもありましたが、終盤のシーンで和人と別れて旅行から帰ってきて、お母さんに「死にたくない」と泣きながら訴えるシーンは本当に辛かった。これまで茉莉が泣く時はいつも一人で弱いところを見せないように振る舞っていて、もちろん家族も分かっていたけどずっと見守ってきた。お母さんの 病気のことを聞いた時に、動揺してお母さんとお父さんが先に泣いちゃったから、茉莉が人前で悲しめなくてごめんね。我慢しないで大声で泣いたって喚いたって良い、お母さんが全部受け止める。 という台詞に、家族の温かさと茉莉が長く生きられない悲しさが心に刺さりすぎた。

気になるところもいくつかあるが、(和人が店の名前に まつり とつけるセンス、嬉しい人もいるかもしれないけど。まつりを探すために最寄駅の周りを走って探し回るところ、良くある描写だと思うけど走って探すの?とすこし冷静になっちゃう。藤井監督の前作ヤクザと家族やドラマ アバランチが良かったのですが、今回は王道ストーリーなだけに、前作らほどのパンチというか、癖?がなかったのが少し物足りなさもある。)時間の移り変わる描写もすごくきれいで、主役の二人だけでなく、どの役者さんもすごく素敵で、初日に見に行ってすごく満足しました。

映画の最後を見るまで、原作者の方が既に亡くなられてることを知らず、この気持ちを伝えることができないもどかしさが残っています。
つっきー

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