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余命10年のなのレビュー・感想・評価

余命10年(2022年製作の映画)
4.7
原作をだいぶ前に呼んでいるけど、ざっくりとしか覚えていないのでそのまま楽しめるかと思って行った。
大大大好きな藤井道人監督。恋愛映画を撮っているイメージが無いので、どんな作品になるのだろうと楽しみだった。

藤井監督が時間の変化を表現すると、四季の一つ一つが刹那的にも感じるし、反対にずーっと続くようにも思える。季節が変わっていく様子が、まるでまつりの死へのカウントダウンのようでもあり、まつりが生きることへの執着、執念をかたち作ってゆくものにも思える。
そして撮影の今村さんも大好きで、この御二方の大ファンとして公開をずっと楽しみにしていた。
今村さんの撮る美しく綺麗な映像は、これは今村さんだ!と分かりやすい撮り方でもあると思う。この作品のキーアイテムでもあるビデオカメラはカメラらしい画質で、フィクションでありノンフィクションでもある二面性を持つ作品として、今村さんの美しい映像とリアルなビデオカメラの映像がぴったりだった。

こういったジャンルの映画は、病状が良くなり、悪くなり、人物が人を遠ざけたりが重なって、どこか内容がちぐはぐになってしまうようなものもあるけれど、この物語はまつりが生きなおす物語。みんながみんなの人生を生きている。
げんさんの『好きだと思える相手が居ることが奇跡』という言葉、本当にその通りだと思う。

私がの寿命があと10年だったら、まつりのように生きることにしがみつく勇気が持てるかな。全てを肯定したような和人の言葉もすごく良かったし、原作とは異なるラストが印象的。

そして、劇伴大好きなのでRADWIMPSの音楽も楽しみにしていた。ピアノやストリングを使った曲が主で、どの曲も無限に広がる空とか、途方もなく広い場所を思い描いて、未来に思いを馳せるようなエネルギーある曲ばかり。もちろん繊細さもあるが、染み込んでくる感じが堪らなく切ない。
そして、とあるシーンで流れる音楽のタイトルが『茉莉の夢』であるのも堪らない。

殴り書きのようでまとまっていないけれど、本当に感動したし泣いては止んでをくり返していました。両親役の2人も本当に良かった。松重さんのお父さん役もリアルだった。桔梗さんも原作のようなイメージのまま。

どんな映画をとっても高評価、藤井監督、本当にすごい…!
余韻がすごい、、、
な