ゆん

余命10年のゆんのネタバレレビュー・内容・結末

余命10年(2022年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

冒頭で死んだ人は誰?

ラスト、和人が白が基調の花束を持って誰かと電話しながら、桜の並木道を歩いている。電話の内容は「今行く、もうすぐつく」と言った感じの、待ち合わせているか待たせているようなやり取り。
2人で夜桜を見た、あの日のように桜が舞うと、和人の目には、楽しそうにしているカップルが目に写る。女の方はビデオカメラを持ち、その2人は、まるで10年前の和人と茉莉のようだった。
しかし2020年、春。ビデオカメラを持って動画を撮るような学生カップルはいただろうか。写真好きが一眼レフなど持っているのはよく見かけるが、2020年であれば、動画を撮るのであればビデオカメラではなく、スマートフォンで撮影するだろう。ビデオカメラを持ち歩いている人はそうそういない。あれは実在していたカップルではなく、並木道を歩くカップルが、人は違えど、自分(和人)と茉莉のような関係性に見えたifの映像であるのではないか?

主題歌「うるうびと」のMVでは、和人が茉莉との思い出の場所を巡って動画を撮っているように見えるが、途中で映ってる川は、茉莉が退院後、父親といったところであり、和人と茉莉の思い出の場所ではない。(作中、二人がそこを訪れるシーンはない)
また、茉莉は死ぬ?直前にビデオのデータ、2人で歩いた夜桜の並木道意外の動画は全て消しているため、和人がその場所を知る余地がない。(あるとしたら、茉莉の死後、父親が和人にここは茉莉の思い出の場所なんだ、と、教えた)。和人は何故、あの場所を知っていた?

『余命10年』は同じタイトルで、原作である小林流加の『余命10年』という小説が元になってできた映画だ。
作者本人は、原作、そして映画の中の茉莉と同じように難病を抱えており、本を書き終え出版される前に他界してしまっている。
作中、茉莉が死んでしまったと確定できる演出はないと思っている。原作の作者への敬意を含め、茉莉が亡くなったようにも、生きているようにも捉えられれような演出にあえてしたのではないだろうか。映画の中で、作者本人を茉莉に重ね、生かそうとしたようにも感じられる。

しかし、結局のところ、MVでは、和人は高林家の墓に花を添えている。そして、その花はラストシーンで手に持っていた花束と似ている。(気がする)。MVを見ず、映画だけを見ていても、茉莉は他界してしまったのだろうという考えになるのが普通だ。しかし、だとしたら、和人が電話していたのは誰なのだろうか。フレンドリーさを感じるあの話し方から、茉莉の家族ではないことは確かだ。茉莉の友達と一緒にお参りに、ということであれば、MVで和人が1人で墓参りに行き、白い花を添えているのにも違和感がある。

そもそも。あの電話は誰かと繋がっていたのだろうか。お墓の中にいる茉莉に、もうすぐ行くよと、伝えていたのかもしれない、


この考察が全て勘違い妄想乙って感じだったらウケる🤣
ゆん

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