たぴ

余命10年のたぴのレビュー・感想・評価

余命10年(2022年製作の映画)
4.6
エンドロールでこれほど泣いた映画は初めてかもしれない。
茉莉が生きた10年が、最後に私の中に入ってきた感覚。
10年とは長いのか短いのか、とにかく無駄にしないように今を生きるべきだと、私は思いました。

命を題材にしたお話だから辛くなるのは分かりきっているので初めは観るかどうか迷っていた。
が、大好きな小松菜奈様主演だし予告の映像美がすごいし、、さらに映画館来場者限定でポストカードが配られる、、とのことでついに鑑賞。

涙もろいで定評のある私は、冒頭のシーンから泣いた。
まさかあのビデオカメラは受け継がれたものだったとは。
お葬式の帰りに桜を撮る茉莉は今にも消えてしまいそうで、いなくなってしまうかのような儚さを纏っていた。

楽しいシーンがあればあるほど辛くなって、「このまま終わらないで...」と心の中で願わずにはいられなかった。
途中、茉莉が母親に本音を漏らすシーンは観ていて心臓を掴まれたようだった。
終わりに近づいていくほどに、楽しかった時間が嘘のようだった。

ただ、この映画は、悲しみではなく愛情の物語だと思う。(他のレビューでも言われていることだが)
死ぬと分かっていても一緒にいたい、けど相手の重荷になるから一緒には入られない。
あなたがいてくれたから、僕は今ここにいる。
そんな葛藤や想いは愛情以外の何物でも無い。
いつ終わるかわからない人生の中で、人への思いやりとか日常が当たり前ではないこととか、そういうことを私たちは忘れてはいけない。

これからの人生について考えるタイミングでこの映画を観ることができてよかった。
茉莉が10年間を精一杯生きたように、わたしも後悔しないように、「これでよかったんだよね」と思えるように、生きる。



(茉莉役が小松菜奈さんというのはピッタリだと思いました。序盤に書いたように、今にも消えてしまいそうな、不安定だけどその姿に吸い込まれてしまいそうな佇まいは本当に引き込まれました。そしてインタビューで言っていたようにどんどんと痩せてげっそりしていく姿は見ていて辛かったですがこの映画に対しての熱意を感じられました。和人とソリをするシーンは2人が打ち解けられたきっかけになったと話していましたがそれが伝わるようないつもの小松さんの無邪気さが出ていて幸せでした。とにかく、小松さんは最高でした。すみません、小松さんへの気持ちが溢れて隠してた重めな想いが抑えきれませんでした)
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