この手の作品は普段観ないが…藤井道人ということで鑑賞。ラストシーンではちゃんと泣けるぐらい良い作品だったし、こういうので泣けるようになったのかと、、少し歳を感じる…。
内容的には想像通りだったが、意外にも主題はララランドに近いものを感じた。
この手の作品にありがちな、ごく普通の女の子が難病で若くして亡くなり、残された彼氏が可哀想…的な単純な悲劇ではなく、
別れと創作、人生にとっての幸せとは何かを、観る人に問う作品になっていたと思う。
永遠の別れを通じてもなお、この世界に優れた作品はあり続ける。
その作品は人々の心に何らかの形で残り続けるわけで、彼女がごく普通の生活を送っていたのであれば、生まれなかったのであろう。
真に人の心を打つ作品は作者の大切なもの、時には命を失うほどのエネルギーによって生み出される。
原作者も死を前にしたからこそ、この作品が生まれたことは間違いないわけで、そう考えた時に生きる意味や幸せとは何かを考えてしまう。
仮に短い命だったとしても、誰かの心に残るような作品を生み出す、そんな奇跡に近いような経験ができた人生は決して悲劇ではなかったはずだ。
薄っぺらい御涙頂戴の駄作にせず、原作者の想いを汲み取り、美しい物語に仕上げた藤井監督の手腕に脱帽。