KingKazukiManji

GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 4Kリマスター版のKingKazukiManjiのレビュー・感想・評価

4.0
相変わらず傑作だったことに変わりなかった。

あれの背景が手描きだったのかと思うと感嘆させられる。ホントに素晴らしい。今回大画面だったので、かなり細部まで見ることができたのだが、凄く丁寧だった。

本作は毎回のことながら押井守の映像作家としての力量にはとても感服させられる。ただ今回4KにするにあたってIMAXの巨大スクリーンで見れたことと、ド迫力の音響で見れたことにはとても満足なのだが、映像が綺麗になったのか、鮮明になったのかと言われると、あまり感じられなかったという事実も否めなかった。しかしながら、自分が産まれる前に作られた作品というだけあって、まさか劇場で見られるとは思っていなかったので、とても満足しているし、上映数は少なかったものの、よくぞ公開してくれたという思いだ。わざわざ新宿まで見に行った甲斐があった。

席はほぼ満席で、外国人のお客さんが多かったのも印象的。ホントに海外じゃ人気なんだなって。入場でポストカードを配っていたのも、スクリーンがIMAXだったので、思った以上に巨大で鳥肌がたった。

原作を読む前に見た時の感想を覚えてないのでなんとも言えないが、少しばかり情報をはしょりすぎている気もする。原作と多少は違いがあれど、同じ内容なので思うが、映画版はかなり難解である。逆に原作が、漫画を読みにくい程の文字ばっかりであれを纏めると、とてもじゃないけど尺が足りないのだが、それにしたって言葉足らずと思ってしまう。あと、原作と別物、別作品という設定なので仕方ないが、草薙素子やバドーらのキャラクターは、原作の方が好きだったなという印象。映画版は全体的に、彼らの掛け合いというか、言葉が少ないのが残念。原作のあの量を映像化するならもう少し長尺でも良かったんじゃないかという気もした。もちろん押井守は、映像で見せたかったんだと思うのはわかっているのだけど、設定が細かいのもあって、84分は短すぎた。ここまで言っておいてあれだが、映画版は、漫画版ではあまり見られなかった視覚的、映像的な見せ方がとても上手かった。少佐の表情がかなり好き。何も喋らないキャラアップのカメラワークが多かったのも良き。ストーリーも、漫画はどこかオムニバスというか、群像劇という側面が強かったのだが、義体化が始まってしまった未来で、自己のアイデンティティは確立するのかという点に焦点を当てたのが面白い。余談だが、これ虚構か現実なのかって点では”ビューティフル・ドリーマー”と”攻殻機動隊”は共通していて、ホントに押井守はこういう曖昧なの好きだなって思わさせられる。まぁだからこそこんなにも評価の高い作品になっているんだと思う。

あの世界線では、2029年もECなんだよな(笑)

最後に言うのも難だが、押井守の作品はホントに賛否が別れそうだなと再認識した。自分は結構こういう渋いのも好きなのだが、人によってはわけわかんないで終わりそう。
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