Rita

イノセンツのRitaのレビュー・感想・評価

イノセンツ(2021年製作の映画)
3.8
大人には見えない子供の危うさ。

ノルウェー郊外の住宅団地。団地に住む4 人の子供たちは、親たちの目の届かないところで隠れた力に目覚める。近所の庭や遊び場で、新しい”力”を試す中で、無邪気な遊びが影を落とし、奇妙なことが起こりはじめるのだった。

大友克洋「童夢」という漫画からインスパイアされているらしく漫画の方が倍面白そうな予感がしてきました。映画は映画で、逆さまに撮した団地が神秘的で美しく、子役の表情の移り変わりに惹き込まれました。

ベンとイーダが階段の高い場所から猫を落としても着地できるのかという疑問から実際に猫を落とすシーン。とても楽しそうに無邪気に笑ってる顔が怖い。例え私が9歳でも猫を落とそうなんて到底考えもつかない。猫の件があり、やっとこの映画はヤバい映画なんだと確信した。

"子供だから"残虐でも違和感を感じなかった。子供の危うさ。物事の危険性。成長過程の途中で目覚めた超能力。4人の子供の家庭環境にも注目してみる。ベンの場合、親からの虐待、歳上からのいじめが彼の心を蝕んでいく。超能力に歯止めが効かなくなったベンの母親に対しての怒り、残虐性が恐ろしい。完全に悪でも善でもない姿は人として自然なんだけどどうももどかしい。ベンに対して、3人は抱えている悩みはあるものの親からの愛情を感じることが出来る。辛いって感情は難しい。
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