りょう

海炭市叙景のりょうのレビュー・感想・評価

海炭市叙景(2010年製作の映画)
4.3
変化してゆこうとする街とその中で自分たちの生活を必死に守ろうと努める人々が互いのすれ違いに傷つき、永遠と続く日常に絶望しながらかつての幸福に回帰する願望を抱えて生きている。映画を観てこれほど深い絶望にとらわれたのは久しぶりだ。しかしラストの猫が帰ってくるシーンは哀感的であるが静かに希望を待ち望む登場人物達の心象を表していたと思う。深い絶望が示された分それに比例して絶望と等量の希望が物語の底に眠っているような気がした。それは夜が明ける前のまどろみのような眠りだ。
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