海炭市叙景の作品情報・感想・評価

「海炭市叙景」に投稿された感想・評価

scarface

scarfaceの感想・評価

4.2
これめちゃめちゃ傑作じゃないでしょうか。超秀逸な群像劇です。作り手たちの想いがない映画なんてないけど、すごく感じるなー想いを。それが総合芸術だって思う。
映画は総合芸術と言いますが、何の総合だと思いますか?本、音楽、美術、ファッション、演技、写真の総合でしょうか。そういった分け隔てなく、交わり合って、相互作用し、境界線なく一つのものが出来上がった時の喜び、つまりは作り手たちの想いの総合なんじゃないでしょうか。
観ている間、意識して呼吸をしないと次第に息が浅くなってきて苦しくなってくる。
ちょっと生き方を変えれば、もう少し幸せになれるんじゃないかと思うのだが、閉塞感の中に閉じこもってしまう人たち。
函館の景色はそういう生き方にしっくりきてしまう。
観終わったあとも重苦しい空気に包まれたままで息苦しい。
この映画、ドキュメント・タッチで描かれていく日常の積み重ねが、最初は取っ付き難くて、観ていて「おいおい、これ、盛り上がりがあるのか?」と心配になる序盤であったが、観ているうちに『のめり込んで観てしまう映画』になっていくあたり、素晴らしい。


物語は、海炭ドック株式会社なる船工場の経営危機→スト→リストラとなっていくパートから始まる。
ここで登場するのは、船工場で働く男と彼を支える女(谷村美月)だが、男が「海がすべてじゃなかったのかよ!」とブチ切れるあたりでは「自分はさほど船に興味が無いので、感情移入しづらいなぁ。このあとも、船工場の話が延々と続くのかしら?」と思っていたら、そうではなかった。

ブタ屋のババアなる立ち退き拒否している老女が描かれたり、プラネタリウムを運営している男(小林薫)の妻(南果歩)の放蕩ぶりが描かれたり、プロパンガス若社長(加瀬亮)の家族が描かれたり、とこれらがテレビニュースの映像・音声で「同時並行している物語」であることがわかる。

「こうしたバラバラの物語は、得てして最後には束ねられることが多いんだが…」と思いながら観ていると、それも路面電車の中と外で束ねられて、実に見事に終結を迎える。

なかなか類をみない傑作である。
anapan

anapanの感想・評価

3.5
ストイックに地方都市の閉塞感エピソードを積み重ねているが、映画としての快楽に欠ける…気が…しました…
kohei

koheiの感想・評価

3.7
北海道のとある港町・海炭市に住む人々の心の機微と美しい風景を描いた群像劇。

「叙景」とは、景色を目に移ったとおりに述べ記すこと。
ほんとにそんな感じの映画で、淡々とこの街に住む人々の生活を写し続けるのだけれど、これがどんより暗くて、そして全く明るくならなくて。でもこの映画に出てくる人たちは「苦しい」とか「つらい」とか言わないし、涙は隠そうとするし、それがすごく身近に感じて、「ほんとうにそこにいるんだな」と思わせてくれる。

これを書いたのちに自死したという佐藤泰志さんが何を思っていたのか。分かるようで全然分からないのが、すごくくやしい。
NAOKI

NAOKIの感想・評価

3.7
「わたしたちは、あの場所に戻るのだ。」

急にこんなこと言うの変かもしれないけど…ありがとね…
え?いや…一緒にいてくれてさ…💦
おれがまだ…くたばらずに生きているのはあなたのお陰です。

借りてきたよ…
「海炭市叙景」
ピストルのさ「函館山山頂から日の出を見た」って朗読と「まだ若い廃墟」っていう曲、この映画から生まれたんだよね😁💦

熊切さんの映画…
生きていくのはめんどくせぇなって思わされるよな💦うん?あぁ確かになんとかなるかって気持ちにもなるけどさ。
ささやか~にね😁💦

閉塞感…裏寂しい風景…猫!

人はどこから来てどこに行くのか?はぁ…手垢のついた言葉だけどよく頭に浮かぶんだ。

でも…ありがとね…え、いや…一緒にいてくれてさ

遺書を書いていたつもりがラブレターみたいになってしまって…丁寧に折りたたんで君に渡した…

これはピストルの「カモメ」って歌の一節😁💦

今朝もピストルの歌を大音量でかけながら愛車で出動だ😁

ピストルさん…あなたの歌や映画はけっこうな数の命を救ってると思うよ。いや…マジで😁💦
貝崎

貝崎の感想・評価

3.5
函館三部作の中でいちばん、私あわないかもと思った。
彼らにはもっと色んな選択肢があるはずなのに、誰もそこから動かない、現状維持を望んだ。もっと若ければとか、守るべき家族がいるとか、理由はいろいろ並べられると思うけど、結局のところ彼らにはそういう、力とか強い思いみたいなものがまったくなかった。
私は現状維持することに不安がある。しかない。まだ若いからとか、守るべき人がいないとか、理由はいろいろ並べられると思うけど、結局のところ退屈と不安と焦りでいっぱい。

彼らに忍耐力があるからエラいわけではないし、私たちに行動力があるから素晴らしいわけではない。彼らにはすべてを見守ってきた故郷があるし、私たちには待っていてくれる故郷があるんだから、それでいんじゃないのって。
人生は同じことの繰返しで、ギリギリ耐えられるか耐えられないかの特別でない不幸を抱えて行くものなのだなと思ってしまった。
もちろん本人にとっては特別なのだが、そんな不幸は街の一部に過ぎない。
なんか北海道の寒さが身に染みた。
とはいえなんか、いい映画だった。
脇の脇くらいの出演者がめちゃいい。
俳優っぽくない人がたくさんいて良かった。
ws

wsの感想・評価

5.0
架空の街を描いた作品なのに、実在の人々の暮らしを記録したドキュメンタリーのような現実味がある。オムニバス形式の複数の物語が繋がりあっているという演出も面白い。函館行きたい。
櫻

櫻の感想・評価

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函館三部作の第1作目。『そこのみにて〜』『オーバー・フェンス』と同様に最果ての救われない日常を描いていて、総じて暗い。狭い閉鎖空間でのむせかえるほどの苛立ちと生きづらさ。皆何かを抱えていて、その痛みは誰も分かってくれない。良いことなんてそんなにないけれど、時々一筋の光みたいな何かに救われたりして、ぎりぎり生きている、それって凄いことだ。


本作はオムニバス形式で、ひとつ目の「まだ若い廃墟」がすきだった。
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