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海炭市叙景のodyssのレビュー・感想・評価

海炭市叙景(2010年製作の映画)
2.2
【残念の一言】

よく分からない映画です。まず、タイトル。

舞台は函館なんですが、なぜか海炭という名にされている。なぜでしょうか。海はまあ分かります。海辺の港町だし、映画の中にも造船所の不況・首切り問題が描かれているから。でも炭は? この映画には炭も石炭も出てこないんですよ。何より、そういう名を与えることで、その町のイメージが限定されてしまうということに、制作側は気づかなかったのでしょうか。

そして、ここで描かれているいくつかの物語は、ほとんどがありきたりです。例外は、市役所から立ち退きを迫られる一人暮らしの老婆のお話でしょうか。これはなかなかいいと思いました。

しかしそれ以外の物語は、退屈で凡庸で、どうってことない代物ばかり。特に、南果歩さんが出てくるところはすごく通俗的でつまらない。私は彼女のファンなので、腹が立ちましたね。もっとちゃんとした映画に出て下さいよ。

制作側は、これで何をしたかったんでしょうか。海炭市叙景というけれど、この映画で浮かび上がってくるのは地方都市の冴えない表情ばかり。冴えない底辺的な人間ばっかり住んでいるのが海炭――函館だと言いたかったんでしょうか。まさかね。でも、映画の出来栄えは、そんな印象でしかない。残念です。
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