ひろゆき

海炭市叙景のひろゆきのレビュー・感想・評価

海炭市叙景(2010年製作の映画)
3.0
函館市を模した架空の北の地方都市「海炭市」を舞台に、市井の片隅でさまざまな事情を抱えながら生きる18組の人びとが交差し、連鎖しながら生きる姿を描く。
芥川賞候補5回、三島賞候補にもなったが受賞せず自殺した佐藤の遺作であり、未完の短編小説。1981年(昭和56年)東京から家族を連れて帰郷した佐藤が職業訓練校に通いながら構想を練ったという。函館市文学館の佐藤コーナーには、単行本の表紙となった高専寺赫の絵画「叙景」や佐藤手書きの「海炭市地図」などを見ることができる。
佐藤の函館西高校時代の同期生やシネマアイリス代表の菅原和博などが「海炭市叙景」の映画化を目指し、2009年(平成21年)に函館で映画製作実行委員会を結成。市民から製作費などの協力を募って準備を進め、2010年(平成22年)秋に公開。監督は帯広出身の熊切和嘉、撮影は近藤龍人。映画化に伴って、小学館より文庫の再刊もされた。
18の各小題は佐藤と交流のあった詩人・福間健二の詩からとられており、福間は小学館文庫版の解説を担当した。(Wikipediaより)
たまたま出会った女と体の関係を結んだり、子供を虐待したり、夫婦仲がうまくいかなくて昔の同級生と不倫していたり、衰退する地方都市の姿を見事に描いていると。。。50年くらい前は、本当にそうだったのかもしれないけれど、俺は嫌だなあ。なんとなく嫌悪感が拭えない。生きる意志は強くあるのに、人生に意味がまるでないような生き方をしている。楽しんでいるのに、どこか哀しい。ほんとうに生まれてこなければよかったような、そんな生き方を描いていて、無意味な自分なんて、はやく死んでしまった方がいいんだという姿は、本質を突いている。理解は出来るのだけれど、共感は出来ない。だからこそ、その引っ掛かりが、何度も心を苦しめ、惹きつけていく。肉体労働とか、仕事や恋愛で、言葉に出来ない想いをしたことがない人には、分からないだろう。世の中は、究極的には、無意味なのだ。そこへ生きる意志を創造することこそ、力なのだと訴えてくる。
どんなに衰退しても、僕たちには、函館しかないのだ。
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