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ロスト・ボディ ~消失~のKEKEKEのレビュー・感想・評価

ロスト・ボディ ~消失~(2020年製作の映画)
3.0
- 完全な憶測だけど、もしおっさんに美少女の人格が発生するなら...という地点からスタートして、その整合性を突き詰めて行った結果できた作品なんじゃないかと思う
- フィクションが大好きなシチュエーション、二重人格
- ポイントはそいつがどんな奴なのか
- それは例えば「もう一人の僕」だったり、「石鹸売りのマッチョ」だったりする
- お決まりはわかりやすく主人公と正反対の奴か、めちゃくちゃ似てるか
- でも実際はこんなんなんじゃね?を監督なりに突き詰めた映画
- この映画でそいつは、主人公の男の人格、偏見、欲望、知識、記憶、トラウマ、それら全てが渾然一体となって具現化した存在として立ち現れる
- その人格との対話を通して、男の記憶はある20年前の事件の真相へと収斂していく
- お話はよくできていて、ほえーとも思ったんだけど「完璧とは〜」云々のスピーチと物語のオチとの関連性がいまいちかっちりハマんない感じがする
- 明らかに強調されていたポイントなので見落としだと思いますが
- 調べるまででもないなあというのがこの作品の愛嬌
- 普通に楽しめました
- でもこういうどんでん返し系全般に言いたいこととして、ラストのシーケンスでいかに短くいかにスタイリッシュにもう一回盆を覆すかみたいなん、一部除いて大体滑ってません?

- 整理
- レイヤー1(現実)
子を身籠った妻を殺した
- レイヤー2(虚構)
愛想を尽かした妻にオランダに逃げられ、彼女はそこで自分の子供を産んだ
- レイヤー3(虚構の虚構)
愛し合っていた妻が突然失踪した、彼女は妊娠していた

- 考察
- 男はかつて逆恨みで妻を殺し、死体を自分が建設した空港に沈めることで完全犯罪を成立させた
- その後20年間、何重にも嘘を重ね、妻が失踪した不幸な夫というカバーストーリーを演じ、それを語り続けることで自分の記憶からも真実を葬った
- 消失したかに思われた記憶は違和感として主人公の中に存在しており、それはかつて罪を犯した地であるパリを訪れた際に、フラッシュバックする
- 記憶は言葉の伝承者(テッセル・テクスター)として主人公の内側に立ち現れ、自己との対話を通して、封印した過去を掘り起こしていく
- その伝承者はifの存在である自分の娘の姿形をしており、彼女は男の深層心理を複雑に反映している
- 最終的にトラウマを克服した男は、「それ以上削ることのできない=完璧」な状態になる?
- もしくは彼女が死んでいてかつ自分の建築の一部になっている状態=完璧?
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