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殺人の追憶のKEKEKEのレビュー・感想・評価

殺人の追憶(2003年製作の映画)
5.0
- おもしれい
- つまりこの作品は指名手配犯に向けた手配書であり、ソンガンホの眼差しは常に犯人へと向けられているわけですよね、その本懐が遂げられることは残念ながらなかったのだけど
- 警察の過剰捜査を描くのはナホンジンのチェイサーと共通する点で、しかし今作はパッションが必ずしも解決に結びつかない
- 韓国の伝統的な警察組織による不透明な取り調べの実態と未解決事件に向かう警察官の無力感を、キャラクターの心理や社会問題を掘り下げつつ軽いコメディタッチを交えて描いてしまう巧さ
- 「足で稼ぐ」主人公と「書類は嘘をつかない」がモットーの新参者がそれぞれ相反するスタンスを抱えながら、犯人を逮捕するという情熱だけを共通項に捜査の深みへと嵌っていく
- 現実を目の当たりにする程に徐々に変化し、いつからか交差してしまった2人の感情の色を鮮やかに映す
- あのとき何ができたかもしくは何をしてはいけなかったかという問いを否が応でも想起させ、犯人への怒りを滲ませているようにも後悔の念に苛まれているようにも見えるソンガンホのクローズアップで幕を閉じる
- まさかここで終わらないよな?→うわああああっ
- どんなどんでん返しや意外な結末よりもこれが現実であることそのものが最も惨いんだという絶望を観客に徹底的に叩きつけるため、積み重ねた情報と登場キャラクターの背景描写をラストシーンに向けて一直線に集約する
- 映画って残り時間が表示されないから、観客は今のシーンが全体の何%くらいの位置にあるのか何となくあたりをつけて観ると思うんだけど、今作はその習性に対する何らかのアクションである気がした
- うまく言えないけど映画が始まって終わるということに当たり前に自覚的
- あと10分、いや5分でも続いてくれればこの物語は自分が思った方向に進んでくれるのではないかという淡い期待と完膚なきまでの裏切りが、なぜか作品に対する信頼と満足度を高めている気がする
- うぅ...わぁ...って声出た
- 華城連続殺人事件は時効を迎えた後の2019年に無期懲役の服役囚が真犯人として発覚したが、その男は自白前にこの作品を刑務所で見ていたらしい
- そしてその男の代わりに冤罪で捕まっていた障害を持つ男性は数十年ぶりに無実が認められた
- 未解決事件を扱った作品として細部が鋭すぎる
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