てるる

死刑にいたる病のてるるのレビュー・感想・評価

死刑にいたる病(2022年製作の映画)
4.0
オンライン試写会にて。

悪魔は天使の姿で現れる。
本当に恐ろしいのは、普段は凶悪な顔を内に秘め、「まさかあの人が」と言われるような人物。

榛村のモデルは実在のシリアルキラーであるテッド・バンディらしい。

テッドはIQ160と知能指数も高くイケメン。
人当たりも良くて誰からも好かれる好青年だったという。

この榛村もパン屋を営む好人物。
被害者の信頼を勝ち得た上で絶望を味わせてから拷問して殺すという凶悪さ。

オープニングをはじめ、被害者をいたぶるシーンがあるので苦手な方はご注意を。

「拷問男」みたいにレイプ魔やクソ人間が拷問を受けるシーンは大歓迎なんだけど、弱き存在が苦しめられるシーンはキツかった。

深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいている…
凶悪犯と面会を続けるうちに徐々に取り込まれていく様子はまさに洗脳。

それがあるから、榛村と筧井のガラス越しの面会シーンは観てるこちらがハラハラしてくる。
撮り方も工夫を凝らしてて飽きない。

アフタートークで監督も仰るには、阿部サダヲは普段から底の知れない部分があるらしい。

その底の知れなさがが榛村というシリアルキラーに説得力を持たせている。
演出だろうけど、あの黒目が下手なホラー映画より怖い。

そしてこの映画のもう1つのハイライトが筧井とその母親とのビール飲みながらの会話シーン。
なんならココがこの映画で1番ハラハラしたかも。

何故榛村が筧井に手紙を出したのか。
それを紐解くうちに筧井自身の問題にも関わってくるのがスリリング。

そして最後の最後まで目を話せない展開。
原作未読だから分からないけど、ラストはある意味で映画的で賛否両論あるかもしれない。

ちなみに裁判の傍聴シーンで毎回のように阿曽山大噴火がしれっといるのは笑った。
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