ノラネコの呑んで観るシネマ

死刑にいたる病のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

死刑にいたる病(2022年製作の映画)
4.3
なかなか面白い。
Fランク大学の法科に通う岡田健史の元へ、子供の頃に面識のあった死刑囚の阿部サダヲから手紙が届く。
彼の犯した24件の殺人のうち、一件だけは冤罪なので、それを証明してほしいという。
興味をひかれた主人公は、いつしか真犯人探しにのめり込んでゆく。
これがユニークなのは、実際に事件を調べる岡田健史と、獄中の阿部サダヲのどちらが主導権を握っているのかというところ。
いわば「羊たちの沈黙」の日本版で、主体的に行動してるつもりでも、実は?という疑念がどんどん湧き上がってくる。
阿部サダヲも一見するとシンプルなシリアルキラーだけど、主人公との掛け合いで、お互いにそれまでとは別の複雑な顔が見えてくる。
物語の終盤に明らかになる人間関係の全貌は、序盤の推理ゲーム的な展開からは想像がつかないダークなもの。
抑圧され自己肯定感の無い子供は、狡猾な犯罪者にとってはイージーな獲物なんだな。
宮崎優の彼女が、妙に中途半端な位置付けだなと思ってたが、まさかああ来るとは思わなかった。
田舎の狭い人間関係もまたコワイ。