白石和彌監督作品は一通り見たが、これが1番好きかもしれん。
阿部サダヲの演技力がすごい。榛村大和の目の演技、優しさの奥に秘める凶悪な人間性を演じられるのは彼だけだろう。もの凄い俳優だ。
作品の中心となる犯人の、目を覆いたくなるほど残忍な犯行シーンはこれまでの狐狼の血や凶悪に比べて少ない。
ただ、これまで以上に、これでもかと精神的に訴えかけてくるものがある。
みんな彼を好きになる。誰もが無意識のうちに懐柔されている恐ろしさ。観ている人も心が持っていかれそうになる。
そしてラストまで観せてくれる。
思わずため息をついた。最後まで油断させない白石監督だ。
