凍死寸前で冬のロッカーに入れられていたんだ。
それでも、何がしたいか?と聞かれれば「ママに会いたい」。
人間の根源的な欲求なのかなぁ。
いろんな人が、基本的には自分の欲求を外に向けて誰かに作用させようとしていて、
ヌーは路上のおじさんにパンを届ける。
カーブはヌーを助けたくなる(実の子に良くすればもっとよかったけど、往々にしてあることだ。外の子が余計気になっちゃう。)
役所の福祉関係の女性は、ヌーを自分の妹と重ねて放っておけない。
ラーメン屋のおやじも。
やくざの男も。
また、ヌーの職場には性暴力を働く男もいる。必ずいるな(怒)
基本的には、嫌なやつはいない話。
ああしてあげたい、こうしてあげたい、っていう相手に向かう矢印が、登場人物の間にピーーっと引かれるような話。
犯罪者も、弱いものも、誘惑に負ける者もいて、仕方ないからぼちぼち生きていて、
たまにおいしいもの食べて、絵を褒められて、人生に喜びがあるんだと知る。
ママには会えないけど。もしかしたら会わない方がいいかもしれないね。会いたいと思ってるうちがいい。辛いけど。
ヌーは子どものころ、周りに気を使って、じゃまになるようなことはせず、いつも絵を描いていた。
大金持ちのセレブ生活よりも、こんなささやかな、ギリギリ下限の小さな幸せが温かく目に映るのは、一体なぜなんだろうかなぁ。