あお

ある男のあおのレビュー・感想・評価

ある男(2022年製作の映画)
4.0
ずしっと重たいものをずっと乗せられているような感覚
120分の間に色んな感情が交錯する
自分ではどうすることもできない事で生きづらさを感じる人ってたくさん居るんだろうな
いっそこうなってしまいたい抜け出したいって思う瞬間が何度も何度も押し寄せるんだろうなと

自分の周りにいる人がどんな境遇で生きてきてどんなものを根底に抱えているかなんて全く分からない
名前だって出自だって見えているものとは違うかもしれない
勝手にレッテルを貼って接しているかもしれない
知らないうちに自分が誰かを傷つけていることがあるのかもしれない
映画を見ながら自問自答してしまった

親子、夫婦、兄弟、恋人、職場の人間関係等々
人と人の描き方がどの場面も印象的
背中で語るようなシーンも何度も出てきてそれだけでその人の感情が伝わってくるのが凄いなと
映像へのこだわりをすごく感じた

配役がとにかく素晴らしい
原作があるのは分かっているが当てがきか?と思うくらいどの役者もはまっている
安藤サクラさんのけっして感情を強く表出しない静かな演技に圧倒される
子役の男の子もいい演技するなぁと
彼の心情をしっかり描いているのが良かった
サクラさんとの2人のシーンには思わず涙が

ボクシングをやったのは自分を殴るため
陽の当たる世界に自分は行ってはいけない存在なんだ
窪田正孝さんのもがき苦しむ姿に心がぎゅっとなった

江本さんの演技もさすがという言葉しか見つらない
毎度ながらすごい役者だなぁと

映画館の大きなスクリーンで見る価値あり
映像へのこだわりをすごく感じる作品

最後に
弁護士の守秘義務どうなってんの?家族であれそこまで言っちゃダメでしょ
あと逃げたところ
ちょっとなぁ
と真面目につっこんでしまった

公開初日
お客さんもそこそこ

2022年
映画館鑑賞42本目
あお

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