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ある男のaimoのレビュー・感想・評価

ある男(2022年製作の映画)
5.0
原作(平野啓一郎)既読。映画化されると聞いて、待ち焦がれていた作品。
期待にたがわず、素晴らしい作品であった。

とにかく安藤サクラの演技が秀逸である。子どもを一生懸命育てる母の顔、「ある男X」に惹かれていく一人の女性としての顔、その両面を上手く演じている。また、つらい過去を背負った女性、新しい家庭を築き幸せに満ち溢れている女性、その演じ分けも素晴らしい。

主演の妻夫木聡、「ある男X」を演じる窪田正孝、そして脇を固める柄本明(やたら存在感がある)、真木よう子、清野菜名、でんでんなども凄く良い。

個人的には、血のつながらない父親が急に事故で亡くなり、また名乗っていた人物とは別人だったという事実を知ることになる安藤サクラの息子を演じる坂元愛登(ネットによると数百人のオーディションから選ばれ、本作がデビュー作だそうだ)の演技に魅了された。複雑な状況に置かれた難しい役だった思うが、葛藤を含め心の機微がスクリーンを通して伝わってきた。

ちなみに、自分自身は誰か他の人になりたいと思ったことはない。なんだかんだで、幸せなんだと思う。
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