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香川1区のmanamiのレビュー・感想・評価

香川1区(2021年製作の映画)
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久々のジャックアンドベティ!一番よく通っていた映画館なので横浜から離れたくない理由の一つです…寂しい。

真摯に真面目に誠実に。熱くて真っ直ぐなのと感情的になるのは紙一重。維新の件に言及した田崎史郎に対して「わたしが見えている景色があなたには見えていない」と激昂するシーン。代表選の意見交換会とか宮根橋下が出ていた番組とか見ていて思ったけど、小川さんって少々キレやすい。もういいですって自分の意見が通らないと議論を放棄する。母親と喧嘩している弟みたいだと思った。その点で小川さんの父親が言っていた幼いという言葉に納得してしまった。(限定的ではあるけれど、)人の意見に向き合えないのは政治家として致命的。菅元首相への出自についての発言からも窺えるけれど、(この発言ってなぜ君は〜の公開後のものだったはず。平井前デジタル相のスキャンダルほど致命的なものではなかったけれど映画内では言及されていなかった)平凡な家庭に産まれたことに誇りを持ち「地盤・看板・カバンなし」と自称する政治家の選挙活動を、パートナーや子ども達が支えてくれているのは当然ながら当たり前のことではない。東京の宿舎と香川の家を往復する姿を見てリアルな金帰火来だと思った一方で、これが家庭を持つ女性政治家だったら…と考えてしまったし、それくらい小川さんを支える家族の存在は大きい。3バンがなくても立候補しそれを支えてくれる家族がいて、とても恵まれていると思う。だからこそ余計に、支えてくれる妻、娘2人に囲まれているにも関わらず、代表選の意見交換会でジェンダー平等に関して「僕は男性ですので〜」と話し始めてがっかりしてしまったのを思い出した。あと「妻です」「娘です」のタスキが男性中心社会の家父長制を体現しているのでは?と物議を醸していたけど、今作はタスキについての言及もあった。
維新の件はわたしもリアルタイムで見ていてうーんとなっていたので気になっていたところ。そもそも維新は野党と言えるのかという疑問もあるし。水面下でどんなやり取りが行われているのかわたしには知る由もないし、打倒自公政権を掲げて野党が政権協力していたのも概ね賛成という気持ちがあるんだけど「候補者心理は単純じゃない」という発言、でもそれは維新側も同じでは?と思ってしまった。ただ、小川さん側からだけでなく自民党からも出馬を取りやめてほしい旨の電話がかかってきていたとのこと。報道の在り方に不公平さを感じた。 メディアといえば「黙殺」の畠山理仁が出てきていたな。
「パンケーキを毒味する」の中で描かれていた、菅元首相の権力への野望やしたたかさを思えば、総理大臣になるには権力闘争に勝ち抜く必要があるのだろうけど、小川さんが総理大臣になれないのは権力闘争に縁遠いからというだけではなく、国会議員に世襲議員が多いという現状や買収などの不正なお金といった政治状況を許してしまっている私たちにも責任があるのだろう。渡部先生が言っていた「小川淳也は例外なのか?希少動物なのか?」確かに彼の映画が偶然ヒットして世の中に広く知られるようになっただけであって、他にも業界団体、労働組合、宗教団体に依存しない候補者はいるはず。しかし同時に候補者一人一人、そのバックグラウンドを理解するのはなかなか難しいよね…ちなみに小川さんが力を入れていたインスタグラムアカウントを運営するチームにデザイナーと写真家が入っていることは知っていたんだけど、映画の中で「手弁当で〜」と言っていて選挙だから無報酬なのはそれはそうなんだけど、改めて聞くと小川さんの人を惹きつける力ってすごいなあと感じる。
「なぜ君は〜」を観たのはポレポレ東中野だったんだけど、サブスクリプションでも作品が解禁されていて想像以上の規模でこの映画が拡大していることに驚いたし、衆院選への影響も少なからずあると感じた。だからこそ今回の衆院選が、小川さんが「政治家に向いているのか?」という問いの答え合わせに繋がるのでは?現段階では、51:49で「小川淳也は政治家に向いている」というのが今の民意、実際に政治家に向いているかどうかの結論を出せるのはまだ先のことだと思う。
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