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さがすのFのレビュー・感想・評価

さがす(2022年製作の映画)
3.8
これは… なかなかに凄い映画だった。このザワザワ感とずっしり感はいい映画を観た証拠。重厚感ある見応え深いこういう作品はやっぱりいい、ずっしりきすぎるからたまにでいいけど…

冒頭シーンからとてもいい、作品の世界観というかこれから何を見せられるのかを肌感で察せられるの凄い。そこからラストまであっという間、テーマとしては核となるところはなかなか重いものを扱ってるから、何とも言えない気持ちになるけど、狂気すら感じるこの違和感にどんどん引き込まれた。先は全然読めないんだけど、一貫して描かれる言葉では言い表せないあの感じとてもよかった。

「深淵を覗くとき、深淵もまたこちらを覗いてる」ってニーチェの名言をなぜか思い出したけど、人間多分みんなそういう性質をどっかしらで持ってて、きっかけは簡単な事なんだと思った。狂気とは言えないのかもしれないけど、恐ろしい世界はリアルでも絶対にある。
「生きたいと思っている人と、周囲に無理やり生かされてる人の2種類がいる」って言葉めちゃめちゃ印象的だったけど、ここら辺の話は本当に難しいからいろいろ考えさせられた。綺麗事だけじゃ片付けられないから議論もされにくい問題を、答えは出させずともちゃんと表現してくるのは絶妙。

終わり方もよかった、いろんな解釈が出来るからこそ、それぞれの受け取り方があって、それぞれの正解をさがしてくださいなんだと思う。最後の最後までとてもいい。卓球シーンのあの緊張感はどこで終わらせても名作だなって思った。分かつネットは超えないようにしなければ…


佐藤二郎ふざけてる演技が多めの印象だったけど、今回は本当にすごかった。クセある俳優のクセを最大限に活かせてる。虚無というか無機質な表情がめちゃめちゃ怖くて流石。役者としての本気って感じでとても良かった。

伊東蒼さんも空白に引き続きとてもいい。
この先もいろんなとこで観ることになりそう。トラウマすぎて、走らないでくれってずっと思ってたけど…

韓国っぽさも感じたけど、こういう邦画くさい映画はやっぱりいい。
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