ナリキヨ

さがすのナリキヨのレビュー・感想・評価

さがす(2022年製作の映画)
4.5
各シーンで細かいモチーフで語らず伝えるポエティックさと脚本やテンポ感の良さゆえか全く小難しさを感じさせないエンタメっぷりのバランス。
画面からの印象に反比例して、一貫して突き通してある正義感が心地よかった。

社会性とか、生き死に、親子について、感じたとことか、泣いたとこ笑ったとこ色々あり過ぎてなかなか整理しづらい作品なのだけど、振り返って思うところはやっぱりこの映画の「圧倒的な出来の良さ」でした。

というと優等生作品だと思われるかもだけどそんな事ないよ!でも私はめちゃくちゃ良くできてる事に感動しちゃった。

ムクドリにそっくり(顔も雰囲気も)な友人が過去にいて、可愛くて口が悪くて誰とも敵対して、でも悪くなりきれなくて、自分のポテンシャルに気付かず卑屈で溺れ死にそうなのを数人で救い出して上げようとしたけど、結局、男と消息を絶った。生きていてほしい。






以下ネタバレ







クーラーボックスにビール缶が沢山入っていたことの意味が分からないままだったけど、
なるほど…計画がちゃんと遂行されたら、山内は原田と一緒にそれを祝うつもりだったのか。
徹底して人を信じず自分勝手で心のない奴だと観ていたから、そこまで至らなかったけど、最後の涙の意味もそれで辻褄が合う。捕まってもあなたの事は言わない、と言っていたのは本心だったのかも。いざ捕まったら言うかもしれないけど…笑
でもあの時の彼は本気だったのかもね。初めて信じた人間である原田に殺された事が、山内に下った罰なのだと思うと、切なく悲しく、そしてやっぱり真っ当な倫理観を持ってして作られた作品だと思いました。
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