一度犯してしまった罪は、二度と拭えない。そして逃れられることはない。
そうであってほしいと願いながら、もやもやとしたラストにしっかりと気持ちを回収してくれたことに安堵した。
どんな事情があろうと許されないし
どんな事情があろうと、手を出しちゃいけない領域で。でも、そこに愛があるからなんとも言えなくて。やるせない感情が、見終えた後もうようよと脳内を巡ってた。
佐藤二郎さんはもちろん、
清水尋也さんの脅威っぷりもすごかったし、何より伊藤蒼さんが素晴らしかった。
「湯を沸かすほどの熱い愛」と「空白」ときて、私自身が見る伊藤さんは三度目で、どれも印象に残るお芝居だけど、今回はもうとんでもなかった。
死ってなんだろう。
「死にたい」の感情の中にはどれだけの感情が渦巻いているんだろう。
生きたい、独りになりたい、寂しい、つらい、幸せになりたい、愛されたい、苦しい、忘れないでほしい、覚えててほしい。
キリがない。
本当の気持ちがそのたった一言でみえるはずもない。
善意もまた、ホンモノはわからない。
そして「岬の兄妹」の記憶もまだ新しい、片山慎三監督作品。いつも、知らないだけで実際にあるこの世界の闇をギリギリのところまで映し出してくれる。見たくない、出来ることなら知らずに生きていきたいようなことを教えてくれる。それを嫌がる人もいるかもしれないけど、私はその事実や現実を知る事やきっかけがあるのは有り難いと思う。
だってどの登場人物も「明日は我が身」のお話しだから。
絶対起こり得ないとは言えない、
他人事じゃないから、目を背けたくなる。
そして罪を犯した人たちもまた、
自分では抑えきれない「何か」によって
犯してしまったと思うと、本当にやるせない。
ピンポンのラリーの音が観終わった後もまだ脳内に響いてる。