喜劇か、悲劇か。
都会の虚構や悪意の中で、主人公のリュシアンは田舎出身の純朴さ、弱さが作用して悪い方向に堕ちていく。みんな悪くて、みんな虚しい。金と嘘まみれのパリでSummer of 85のバンジャマン・ヴォワザンの変わっていく様子が生々しくて良い。
舞台の拍手や野次をあんなに自在に操る商売が本当にあったのだろうか。何もかもが金で操作されている世界で、人間はどうやって正気を保てるんだろう。いつも傷ついて繊細なグザヴィエ・ドランが本作ではお兄さん的立ち位置なのが新鮮だった。
「幻滅」という邦題、良いな。
というか、幻滅という言葉があまりに原題Illusions perdues=「失われた幻想」そのまますぎて、この日本語にも拍手したくなる。
filmarksオンライン試写会で鑑賞でした!