Tanuki

フリークスアウトのTanukiのレビュー・感想・評価

フリークスアウト(2021年製作の映画)
4.5
見てよかった。めちゃ面白かった。第二次世界大戦下のイタリア-ドイツを舞台に、特殊能力を持つ4人のとぼけたサーカス団員が、イタリア版ファンタスティックフォーのように活躍する映画。マイノリティのヒーローが立ち向かうはホロコースト。テーマに必然性があるのもいい。

敵役の未来が見える6本指のピアニスト、フランツがかなりエモキャラクターで余韻が残った。自らもサーカスで見せ物になる「フリーク」でありながら、軍人の兄に認められヒトラーの役に立つことを夢見ている。『未来を乗り換えた男』『希望の灯り』のフランツ・ロゴフスキが怪演

フランツの何が面白いって本当に詳細に未来が見えてしまうとこ。未来で見たと思われる「人をダメにするクッション」を作ってそこで寝てたり、マイケルジャクソンの踊りを真似したり。未来を見るシーンであまりに場違いすぎる音が鳴ったので、観客席から聞こえてるのかと思った笑

そんな、一人の人間では抱えきれないようなスゴすぎる能力を持ったフランツ。でも未来予知の方は周りに信じてもらえなくて、6本の指でピアノを弾くことばかり求められる。彼の顛末は悲しく苦しい。フランツやマティルデやイスラエルを苦しめる本当の悪はほぼ登場すらしない

エンドロールのあのイラスト、面白いんだけど、見てると切なくなってくるんだよな…。アメリカ映画のように、ストレートに気持ちいい、わかりやすいヒーロー譚じゃないというか、不思議な味付けでちょっととぼけてたり、癖がある感じなんだけどそこがいい。フルヴィオ好きだよ〜

少女主人公のヒーロー映画としても結構アリだし(性的に危険な目に遭うシーンあるので注意、でもリアルとも感じる)『Xメン ダークフェニックス』のモヤモヤをちょっと思い出しつつ間接的に払拭してくれる感じもあった。同監督作『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』も見てみよかな

『ほんとうのピノッキオ』も「なんだこの映画、変!でもめちゃくちゃ面白い!」と思ったんだよな。イタリアのエンタメ系映画、もっと掘ってみたいな。

虫使いがいるので、めちゃくちゃ虫出てくるのも注意。でもこの虫使い、蜂がいたら普通に怯えてたりするし、あんまり虫と仲良くはなさそうなのが面白かった。彼のクライマックスの活躍シーンは流石にちょっと残酷すぎるが…。
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