駒

パワー・オブ・ザ・ドッグの駒のレビュー・感想・評価

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)
4.5
近年見た映画の中でダントツに刺さった映画でした

男らしさを鎧に、生きていかねばならない時代
あと100年あとなら、彼はもう少し楽に生きられたのにと思うとそう思わせるベネディクトの演技が素晴らしい

なにより監督の映像美
計算されつくされた画角
どこのシーンもまるで美術展のポストカードのように優美で繊細で雰囲気のあるカット
西部劇のようにカウボーイが馬を駆り牛を追う乾いた画になりがちなのを、しっとりとした質感を常に感じさせる空気感はさすが

コディ演じるピーターの、フィルとは真逆の性質である頼りなさが後半は艶っぽくさえ感じるギラつきに魅せる芝居は圧巻

私は誰かこの人を幸せにしてあげて、という感想を抱きながら見終えたけれど、色んな意見の生まれる作品だと思う

だけれど、フィルがただただ嫌な奴だったという感想は早計だと思わせる脚本力

何度も見たいので日本は頼むからBlu-rayとDVDを出してください……(本国から輸入しました)
駒