たけちゃんまん

ちょっと思い出しただけのたけちゃんまんのネタバレレビュー・内容・結末

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

夢に恋したら2人のジェンガは脆く崩れやすくなる。
そんなことは百も承知で、それでも整備工という目的地を探し求める。

そうした「今」の幸せ、あるいは苦境を噛み締めるために、「ちょっと思い出す」行為の意義が見出される。
単純な恋愛映画であればベンチで待ち続ける男の存在は不可欠ではない。時間は一般的に不可逆な概念とされるが、それぞれの人間の内側では一方通行ではない。過去があって今があるだけでなく、今が変われば過去の印象も変わっていく。
だから思い出す事なんていうのもまたその都度変わるもの。今作でも別れの決定的なシーンを描いてないのが印象的で、意外と思い出すシーンというのは何気ない場面の切り取りだったりする。

そうやって普遍的に全ての人間が何かを思い出しながら今日を迎え、その人間同士が偶発的に出会い未来の思い出を現在進行形で築いていく。


夏始まってほしいなまじで