松居大悟が監督・脚本を務めた、2021年公開のラブストーリー。
本作は、ジム・ジャームッシュ監督の『ナイト・オン・ザ・プラネット』（1992）からインスパイアを受けたクリープハイプの楽曲『Night on the Planet』を基にしているそうで、両作に全くの知識も思い入れもない私はその点を若干懸念しつつ鑑賞に臨んだのですが、そんな心配は全く必要ありませんでした。むしろ楽曲の歌詞も全く把握せずに飛び込んだからこそ本作が物語るテーマの奥深さや普遍性の高さにも驚きましたし、更に鑑賞後に『Night on the Planet』を聴くと今度は本作の場面が鮮明に蘇り歌詞の一節一節にまでグッと来てしまいます。また「彼らの6年間を終わりから始まりに向けて遡る」という構造も決して見せ掛けの手法として用いているのではなく、むしろこの構造こそが2人の物語を”掛け替えのない時間”として彩っています。仮にこれを時系列通りに並べ直すと明らかに劇映画としては退屈でしょうし、かと言って見せ場を追加していくと本作のような「人生の尊さ」というテーマはどんどん希薄化してしまう。という事で、前述の楽曲の件然り、本作を観て私が最終的に辿り着いた感想は「映画って凄い！」でした。これはちょっと凄い作品ではないでしょうか。
池松壮亮さんと伊藤沙莉さんも初顔合わせとは思えない見事なハマりっぷりですし、個人的には『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』級に意外だった「まさかこの人のこんな表情で終わるとは思ってもみなかったよ」系エンディングもとても素敵でした。リアルタイムに劇場で観ることが出来て本当に良かったです！次回作も楽しみにしております。
ポストカードもありがとうございます！今年は入場者特典のある作品が多い気がする。
