もこもも

ちょっと思い出しただけのもこもものレビュー・感想・評価

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)
4.3
照生の誕生日である7月26日に焦点を当てて1年ずつ逆行する形で照生と葉の別れから出会いまでを描いた恋愛作品

胸に刺さって余韻が残る激エモ映画
2人の別れから始まる作品が新鮮やった
1年ずつ戻ることを知らなかったから
最初は全然ついていけなくて、
でも観終わってから序盤を再鑑賞すると
1つ1つの表情やセリフに納得させられる
時を遡るごとにどんどん美しく輝く思い出に
胸の温もりとほんの少しの胸の痛みを感じた

池松壮亮さんも伊藤沙莉も素敵な役者さん
特に伊藤沙莉さんの自然体な演技は
いっつもいいなぁって見惚れてしまう
クリープハイプの尾崎世界観さんが書き上げた
『ナイトオンザプラネット』も良かったし、
映画の『ナイト・オン・ザ・プラネット』への
愛を感じれるシーンが多いのも嬉しかった

結婚するはずやったのに
どっちも嫌いじゃなかったのに
もしあの時あんな言葉を投げなかったら...
もしもう少し照くんのことを待てたら...
もしあの日がなかったら...
こうなっていなかったかもなぁって

本当に些細なことやって、
思い返すとそう思うけど、
その時その時はそれを理解していなくて、
そこがとってもリアルなぁって沁みる
休館日の水族館のシーンも
『ナイトオンザプラネット』を観ながら
ケーキを食べるシーンも
終わってしまったからこそ
あの日々が甘酸っぱく輝いて映る
舌打ちのくだりがある出会いのシーンも大好き

ラストで描かれる今の2人
2人とも今の人生が幸せなのかな
少なくとも葉ちゃんは、
最初に「幸せ?」って聞かれた時に
幸せと即答できなかったわけで
でもタイトルの通りこの作品は
"ちょっと思い出しただけ"
本当に昔のことをちょっと思い出して
物思いにふけっただけかもしれないし、
ちょっと思い出すくらいで済ませないと
溢れ出てくる後悔っていう意味かもしれない
ただどんな意味であったとしても
夜は明けて新しい一日が始まる

"夜にしがみついて 朝で溶かして
何かを引きずって それも忘れて
だけどまだ苦くて すごく苦くて
結局こうやって なにか待ってる"
もこもも

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