えいこ

ちょっと思い出しただけのえいこのレビュー・感想・評価

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)
4.7
休日の何でもない夕方にとてもハマる作品でした。とにかく池松壮亮と伊藤沙莉がもう照生と葉ちゃんそのもの。

同じ日の出来事を一年ずつ振り返っていく構成だが、現在につながる小さな棘のようなものは随分前から刺さっていたことに気づく。どうしようもなく放ってしまった言葉、どうしようもなくて飲み込んでしまった言葉。若い頃、言ってくれないとわからないよと言った人もいれば、言わなくてもわかるよと言った人もいる。お互いのチューニングの問題なのだ。それがすれ違ってしまった時のエピソードはどうしようもなく切ない。

あの時こうしていれば、という小さな悔いは誰にでもある。その切なさを大切な思い出として愛おしく思えるような、ポッと灯ったロウソクの灯のような映画。台詞も音楽もない情景だけのシーンに思いのほか心を掴まれる。「ちょっと思い出しただけ」というタイトルも良い。「ナイト・オン・ザ・プラネット」をまた観たくなった。
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