アードベッグ

ちょっと思い出しただけのアードベッグのレビュー・感想・評価

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)
4.0
【ロケーション】
高円寺ストリート、新宿三角ビル、東京タワーなど、普段から見慣れている街角だが、主役2人を通して観ると愛おしく感じるし、キラキラしてて、時折せつなくなる。池松さんの住む部屋の小道具がリアルで、2人の何気ない会話がより映画的となって、臨場感があった。

【ストーリー】
劇中にジム・ジャームッシュ監督映画「ナイト・オン・ザ・プラネット」が流れ、同じ1日を切り取った語り口はアン・ハサウェイ主演映画「ワン・デイ」と、洋画ファンなら割とわかりやすくストーリーに入り込める仕掛けが良かった。
具体的な示唆はなかったが、初めて出会って街を歩くシーンはリチャード・リンクレイター監督作品「ビフォア・サンライズ」のようでもあった。
それぞれの作品に共通しているのは、ヒロインの圧倒的な魅力であろう。
伊藤さんの表情、記憶に残る声、セリフの一つ一つが可愛らしく、それがそのままこの映画の魅力となっていた。
また、関係性が冷え切った恋人特有の会話の噛み合わなさは、観ていて辛かったが、物語にとっては良いアクセントになっていた。

【笑えたところ】
池松さんのセリフ回しが所々、おゲイな感じで気になった。そんな口調だからなのだろう、表情がときおり大竹しのぶさんのように見えるシーンがあった。髪が長いから余計にそう思えたのだろう。
そんなおゲイな雰囲気なのに、所構わず伊藤さんを求めたりして、そういう少しチグハグなあたりが30歳のオトコって感じがして微笑ましくもあった。

そして何より國村隼さんに、永瀬正敏さん出演CM「ザ・カクテルバー」のキャッチコピー「愛だろ、愛っ。」を言わせたところに、オジサン接待とわかりつつもニヤリとしてしまった。