「いじめられていた子ども時代、盆踊りの輪の中に逃げ込んだ。逃げたことを忘れるくらい夢中で踊った」
戦時中に生まれたダンサーの田中泯(みん)さんは、体に刻まれた記憶や言葉にできない思いを踊りにする。
人の身体性に徹底的に向き合おうと、畑仕事で体をつくり、「芸術」になる前の踊りを探す旅に出る。
パリやポルトガル、山梨…。
街中で繰り広げるパフォーマンスは立ち止まる人たちの反応込みでどれもおもしろかった。
ただ一番美しかったのは、福島の被災地を訪れ観衆が一人もいない桜の下で舞ったシーンだった。
暗黒舞踏家の土方巽(ひじかたたつみ)が振り付けたとき、振りや動きの手本はいっさい見せずすべて言葉で伝えられたというのはすごい。
(パフォーマンス後に)「脳みそが海に沈んでいきそうで幸せ」
「踊りは見ている人との『間』に生まれる」