わか

アルピニストのわかのレビュー・感想・評価

アルピニスト(2021年製作の映画)
4.0
フリーソロのアレックス・オノルドに、イカれてると言わしめるほどのクライマー、マーク・アンドレ・ルクレール。

数々の難所と呼ばれるスポットの登頂に成功しているにも関わらず、知っている人がほとんどいないのは、彼が登頂の記録をSNS等で全然発信してこなかったから。

普通なら偉業を成したら他人にアピールして、讃えられたいと思いそうなものなのに、彼は他人からの称賛や名誉にはまったく関心が無い。
時には撮影班をも煙に巻き、自分の気持ちの赴くままに登る姿にクライマーの真髄を見た気がした。

驚愕すべき点は、岩山以外、雪山・氷壁すらも命綱無しに登ってること。
いつ氷が溶けて砕けてもおかしくないような、薄氷にピッケルを突き立て登る。
それだけでも驚きなのに、彼は安全な氷を見極めて確実に登る。
しかも、下見なしのオンサイトで登ることがほとんどというから、彼についてどう表現したらいいのかもはや言葉が見つからなかった。

あらゆる壁を制覇し、最高峰の技術を持った、まさに最高のクライマーだと思う。

しかし、最高の技術を持ってしても、自然には人間の及ばない領域があるということを思い知らされる。

そもそもマーク・アンドレ・ルクレールという人を知らずに観たので、この映画の結末は予想外だった。

クライミングといえば登頂がゴールだけど、山登りは降りるまでがゴールなんだなと、その違いを痛感させられる作品だった。
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