Bobsan

デスパレート・ランのBobsanのレビュー・感想・評価

デスパレート・ラン(2021年製作の映画)
5.0
監督のフィリップ・ノイスはこの手の映画を撮らせたら抜群に上手いですね。「デッド・カーム 戦慄の航海」でも登場人物はたったの3人でしたが、今回はナオミ・ワッツほぼ1人です。
息子の通う高校で銃乱射事件が起きました。しかしこの作品は事件そのものを描くのではなく、そこへ走って向かわざるを得なくなった母親の姿を通して描かれます。母親はスマホを頼りに様々な人間と連絡を取りながら状況を把握し、心が折れそうになる自分を必死で奮い立たせながら現場へ急ぎます。カメラが止まる事なく、走る母親を追い続けますね。果たして母親は辿り着けるのか?息子は無事なのか?
1967年の映画で「かくも長き不在」という反戦映画がありましたが、あの作品も戦争の
場面を一切見せずに戦争の残酷さ、恐ろしさを描くという離れ技を見事に観せてくれました。
映画でこういった"芸"を見せられると、はい、参りましたとひれ伏せざるを得ませんね。フィリップ・ノイスは映画のオリジナルを心得ていますね。
Bobsan

Bobsan