MaiSetsuna

僕が愛したすべての君へのMaiSetsunaのネタバレレビュー・内容・結末

僕が愛したすべての君へ(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

この「僕が愛したすべての君へ」「君を愛したひとりの僕へ」は2本で対とし、1作品としてして五段階ポイントは同評価とします。
更にこのレビューは2作品両方のネタバレを含みますのでお気を付けください。



※2タイトルのレビューは同じなので両方見ていただいても内容は変わりません

SF用語が多くてあまり見たことない人には理解が難解かもしれない。
その点SF好きにはとても良い作品となっています。

またSF用語が分からなくてもストーリー自体はラブストーリーなのである程度は理解して楽しめる筈と思います。


まずは個人的認識の作品解説から

パラレルワールドで世界が無限にある設定ではあるけれど、基本的には主人公の両親が離婚した時、どちらについていったのか?という二つの世界から成り立つ。

母親についていった世界が
「僕が愛したすべての君へ」(僕愛)
内容は、和音と生きた幸せな世界


父親についていった世界が
「君を愛したひとりの僕へ」(君愛)
内容は、死んだ栞を助ける為研究に生涯をかけた世界


といったものです。


事故で栞の「虚質(人格?意識?)」は肉体に戻る事ができず、元の世界の栞も死んでしまい、交差点の幽霊になる。

何とか栞を生き返らせたい暦(主人公)が研究の末に出した結論は事故が起こる前までタイムシフトして、栞と出会わなかった世界にする事。

オプショナルシフトする時に栞と同カプセルを使用したため、交差点の虚質が見える。
また以上の理由より、栞の虚質とリンクしていると考えられ、暦がタイムシフトした時に栞も連れて行ける。

更にタイムシフトが成功した後に、暦を殺すと、戻れなくなって過去に定着する。
ただし暦と栞は過去に戻ると記憶を失う。

出会わなければ栞は事故で死なないので、幸せに生きる事ができる。というのが暦の望む世界。


栞と出会わない世界(暦が両親の離婚で母親を選んだ世界)で和音と結婚し夫婦になる世界線にシフト。

で、たぶん和音と夫婦になった世界線では暦に2つの虚質(「母親を選んだ元の世界線のもの」と「父親を選んだ世界線のもの」)を持っていたのだと思われる。


なので「僕愛」の最初のシーンでは栞が見え、更には2重虚質でタイムシフトもしている暦はエラーなのでは?と...



で、告知のPVなのだけど...

「僕愛から観るとちょっと切ないラブストーリー」
「君愛から観ると幸せなラブストーリー」


たぶん栞がメインヒロインなんだと思う。
だから「君愛(栞の話)」が先だと「栞を助ける為の研究」というのが観る人の頭にあった状態で「僕愛(和音の話)」を見る事になる。
故に、すべては「栞の為」というストーリーになる。
純愛ものって事だろう。

逆に「僕愛(和音の話)」が先だと「栞を助ける為の研究」という前提条件が無いまま「和音の話」を観る事になる。


要は、鍵になるのは「僕愛」の方。

上に述べた様に、「僕愛の主人公暦は「虚質(意識?)」を2つもった状態」なので、
僕愛から観た人は「母親を選んだ世界線の暦の視点」で作品を楽しむ事となり、

逆に君愛から観た人は「父親を選んだ世界線からシフトした暦の視点」で作品を楽しむ事になる。

という事だろう。


なんとも難解なストーリーではあるが、分かれば凄い面白い話なのだと思う。
正直言って普段からSFに馴染んでいない人にとってはかなり難しいストーリーなのではないだろうか?

逆に普段からSFを好み、作品を深く掘り下げて考えられる人にとってはかなり楽しめる作品なのではないかと思います。
MaiSetsuna

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