るるびっち

KAPPEI カッペイのるるびっちのレビュー・感想・評価

KAPPEI カッペイ(2022年製作の映画)
2.2
笑いの好みは人それぞれで何とも言えない。
けれど、一番笑ったのは予告CMだった。
『北斗の拳』のような終末戦士として、隔絶した環境で鍛え上げられた主人公。だが世紀末は来ずアッサリ解散となる。そこが一番面白い。つまり出オチ。あとは宴会芸。

世間知らずによるズレた面白さが余り出ていない。というよりその勘違いぶりが細かくて小さいのだ。
例えば女性の喘ぎ声を聞き、ドアを破って部屋に殴りこむ所。
主人公はエッチをしていると理解していて、「あれが交尾か」と述べる。
交尾のフレーズが、世間ズレの基準としては大して面白くない。むしろ何だ、解ってるんだと興ざめする。

喘ぎ声を殺人と勘違いして乗り込み、裸の男を締め上げる。
イチモツ掴んで、全裸男を窓から吊るして懲らしめる。
それくらいの勘違い野郎であって欲しい。

ヒロインに一目惚れする所も、「これが恋か」と自覚しているから詰らない。勘違いしていないと面白くない。
何故、体が熱くなるのか? 何故動悸が激しく眩暈がするのか?
これはあの女が、何か恐ろしい呪いか秘術で俺に攻撃を仕掛けたに違いない魔女め成敗してやる!! と完全に暴走する。
しかし、いざ会うとデレデレしてしまう。イカンイカンあいつは敵だ。
ヒロインを倒そうと近寄るが、彼女の笑顔で立ち眩みを起こし車に跳ね飛ばされる。そんな感じで、倒そうと近寄る度に怪我をする。
恋愛と攻撃の違いが解らないバカにして欲しかった。
ただ可愛いだけのヒロインに、子供の様に怯える男。
修行が足りぬと、打倒ヒロインを目指して無謀な修行をする。
物事がまったく見えていない。

そいつが、やっと恋愛だと理解する。
ところが、今度は修行仲間が恋のライバルになる。
そこで彼女を巡って、街を破壊する死闘を繰り広げる。
彼らの戦いのせいで、地面は割れ日本は沈没する。
最愛のヒロインも難民になってしまう。
何と、終末を呼び込んだのは自分達だったのだ。
それも片思いのせいで・・・はた迷惑な…
終末を救うどころか、悪の権化として追われる主人公。
主人公と彼女はどうなるのか? その道行は?
という筋書きの方が、なんぼかマシだと思うが?

とにかくスケールが小さい、「終末」のではなくギャグと世間ズレのスケールだ。そこがポイントだろう?
予告CMが一番面白い、それ以上はない。
ヒロインの恋愛対象が、ブサイク先輩なんて白けるだけだ。
勘違いしているのは主人公ではなく、作者の方だろう。
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