るるびっちさんの映画レビュー・感想・評価

るるびっち

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ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ(2023年製作の映画)

4.1

居残り三人組が、それぞれの「ギフト」を受け取る物語。

人生は不公平だ。
裕福な家庭に生まれただけで、努力も痛みも知らずに成功できる者がいる。
一方で賢くても貧しく、苦しみの中でもがく者もいる。
そん
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白と黒(1963年製作の映画)

3.9

オセロのように二転三転する。
どんでん返しが面白いのではない。
小林桂樹と仲代達矢が、互いに自分の利益に沿わないことに突き進んでいく矛盾が面白い。
常々名作とは矛盾しているものだと思っている。
矛盾が
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ハンガー・ゲーム0(2023年製作の映画)

3.4

『コリオレイナス』はシェイクスピアの悲劇だ。
ローマの英雄コリオレイナスが、要求ばかりする市民と争う。
戦争の英雄には、要求ばかりで命を掛けない市民が身勝手な厄介者に見えてしまう。
ポピュリズムに陥る
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ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング(2025年製作の映画)

3.8

前回はフィアット500がすってんころりんで宮崎駿・愛を感じたが、今回も『未来少年コナン』『名探偵ホームズ』のオマージュを見た。
水中キスによる人工呼吸はコナンだし、複葉機の翼で右往左往は犬のホームズが
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金子差入店(2025年製作の映画)

4.0

主人公の差し入れ屋は、社会人として暴力を押さえつけているが、まだそれを完全に手放すことができない。
ようやく最後に、そこから解放される映画。

殺人事件に巻き込まれる少女二人。
凄惨な殺人の犠牲者にな
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

3.8

『白鯨』はエイハブ船長が憎しみをぶつける話だが、本作は人を慈しみ祝福を与える話と思う。

自分を捨てた白鯨デブの父を憎んでいる娘。
だが彼女はトリックスターで、発言や態度はあべこべだ。
人間に虐待され
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アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台(2020年製作の映画)

3.0

不条理劇より人情劇なら良かったのに・・・
人情劇ならば、囚人が演劇を学ぶのは実は外部公演で脱走する裏の目的があり・・・果たしてという筋書きが楽しめたろう。
一生懸命指導する演劇の先生に情が移り、本当に
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ボーダーランズ(2024年製作の映画)

3.8

こういうのが一番好きかも。
B級感があるSF映画。
ゲーム原作で、キャラがバラエティに富んでる。
一方で悪役がかなり手薄。オッサン一人で頑張ってるやん。

主人公は賞金稼ぎだが、タフで強そうな女性とい
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ソウX(2023年製作の映画)

3.7

なんだか『必殺シリーズ』を思い出した。
『必殺』は悪人に騙された悲しい被害者がいて、金で仕掛け人が復讐をする。
本作では騙された被害者が殺人鬼ジグソウなので、自ら詐欺師達に残酷なゲームで仕置きする。
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

2.5

世間とのズレを感じる。面白さが解らない💦
中学生がヤクザに歌を教えるのも、ヤクザの狂児の裏声も出落ちで、そんな笑いは10分で終わる。
あとは大した広がりもないので退屈。
気まずいカラオケ以上に苦痛だっ
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まる(2024年製作の映画)

3.5

堂本剛の顔が、思った以上にまん丸。
歳を取ると、アイドルもアンパンマンになるのだな~。

資本主義に翻弄された前衛芸術は、個性という名の切り取りで言ったもの勝ちの世界になっている。
デュシャンが便器を
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静かなる決闘(1949年製作の映画)

3.9

主人公の聖人君子ぶりが、本音で揺らぐところが面白い。
「性欲魔人になりたいの~ラブ注入💛」(あくまで意訳)

手術中の事故で梅毒に感染した三船敏郎扮する医師が、婚約破棄を決意する。
「その人間の肉体は
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あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。(2023年製作の映画)

2.9

画一的な映画。
やる気のない女子高生。
戦時中にタイムスリップして、自由に生きられる現代の素晴らしさを知る。
特攻に向かう若者との恋。彼の分まで生きようと思う。

AIでも書ける。いやAIだからこそ書
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アビゲイル(2024年製作の映画)

3.4

誘拐した少女が吸血鬼だった。
ポスターにもあるから、ネタバレじゃないよね。
問題は、この吸血鬼が弱い。
なので怖くない。
ホラーではなく、段々ドタバタコメディになってくる。
更に駆け引きの騙し合いにな
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Remember the Night(原題)(1940年製作の映画)

3.8

プレストン・スタージェス脚本。
トリッキーな展開とドタバタ、田舎のへんてこ家族などスタージェスらしさが横溢している。
喜劇的に始まりながら、最後はメロドラマになる。

被告人と検事が敵対関係から恋愛に
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フォールガイ(2024年製作の映画)

3.3

落下事故で人生急落したスタントマンが別れた相手と再び恋に落ち、自分がフォール(身代わり)と気付いて、悪人の証拠品を奪ってヘリからフォールしてめでたしめでたし。
ダジャレで統一した物語。

フォールには
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テロ、ライブ(2013年製作の映画)

3.8

ビリー・ワイルダーの『地獄の英雄』や、ベン・ヘクトの戯曲『フロント・ページ』を彷彿とさせる。
どちらもマスコミの非人道ぶりを批判した作品。
スクープのためなら、人でなしな振る舞いも辞さないマスコミの狂
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ウォンカとチョコレート工場のはじまり(2023年製作の映画)

3.7

まあ寓話ですので、リアリティは関係ないのでしょう。
チョコレートは「幸福」を表していて、でもチョコ以上に大切なのは「仲間」という話のようです。
幸福や夢を追求するには、諦めないことが教訓。
でも独りで
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天使のくれた時間(2000年製作の映画)

3.3

時代によって人の意識は変わる。
20年前なら、感動したのだろう。
しかしジェンダーギャップが不適切として取り上げられる昨今、不快に思う人たちも多いだろう。

また貧困や独身層が広がった日本では、「金よ
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怪物(2023年製作の映画)

4.3

決めつけちゃダメという話。
湊君とヨリ君。
湊君の母は先生が息子に体罰をしていると思い込む。
先生は湊君がヨリ君をいじめていると思い込む。
でも真実は別にある。
ヨリ君は他の子にいじめられていたが、二
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スポットライト 世紀のスクープ(2015年製作の映画)

4.2

「我々はいつも暗闇の中を手探りで歩いている。そこに急に光が差すとようやく間違った道を来たことが解る」
劇中、新聞社の編集局長が言い放つ。

ストーリーだけでも物語は描けると思う。
しかしテーマやキャラ
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バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3(1990年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

1・2・3とそれぞれ趣が違う。
1はタイムパラドックス。
2はスポーツ年鑑(長者になれる)の取り合い。
3はドクのロマンス。
それぞれ描く方向が違うが共通点がある。
勿論、タイムマシンとマーティ・ドク
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タイム・トゥ・ラン(2015年製作の映画)

3.8

納得行くか否かは、右脳で観てるか左脳で観てるかで別れる気がする。
理屈より感情を重んじる右脳派の人。
感情より理屈を重んじる左脳派の人。
タイプにより共感して納得するか、破綻しているとツッコむか。右脳
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八犬伝(2024年製作の映画)

3.0

最後の20分だけ少し面白い。
その部分、馬琴と息子の嫁・お路の二人三脚こそ、曲亭馬琴の全てを物語っている。
そこだけに専念すれば、馬琴の手に負えぬ因業な執念と作品への誠実さ。『業と美』が描けるだろう。
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忍びの国(2017年製作の映画)

3.3

大野君演じる無門という主人公が居ない方がスッキリする。
彼はメインストーリーの流れの外にいるからだ。
メインの話は、織田VS伊賀者の騙し合いだ。
無門は門外漢として無責任に傍観している。孤高の天才忍者
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魔界転生(1981年製作の映画)

4.0

魔界とは禁断のものである。
魔界に落ちたものは、それぞれ禁断の実を手にしようとする。
女断ちを誓った槍術の宝蔵院は、魔界に落ちて女を抱くことしか考えない。
柳生十兵衛の父・宗矩も、好敵手として息子との
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サタデー・ナイト・フィーバー(1977年製作の映画)

3.6

ディスコ映画ではなく、実は橋の映画。
ダンス部分は、客寄せパンダ的な飾りに過ぎない。
本質は橋の映画である。
ブルックリンでくすぶってる若者が、橋を越えてマンハッタンという都会に出ていく話だ。

主人
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レッド・ワン(2024年製作の映画)

3.2

サンタ側のドウェイン・ジョンソンも、悪役の魔女も人間に失望している点では共通している。
そのためジョンソンは引退さえ考えている。
悪い子供はまだ救えるが、悪い大人は救いようがない。
魔女側も同じ思いで
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素晴らしきかな、人生(2016年製作の映画)

3.8

いつもですけど、結構ネタバレしてますのでご注意を。
(オチさえ言わなければ、途中は良いだろうという甘い思考)

人を騙す話が好きだ。
勿論、えげつない騙し方では楽しめない。
エンタメしていてユーモラス
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ミステリと言う勿れ(2023年製作の映画)

3.3

ミステリーはもはやトリックではなく、ミスリードが巧みかどうかで決まる。
今時、見たことないトリックは中々作れず、いかにミスリードで二転三転させるかがコツなのだろう。
この話も1時間位のところでミスリー
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伝説巨神イデオン 発動篇(1982年製作の映画)

4.4

「三が日はイデオンで」というサンライズチャンネルの企画。
正月からイデオンとは、さてはサンライズは日本滅亡を狙ってるな? 縁起でもない💦

全編クライマックスなんて謳い文句は大抵詐欺だ。
だが本作は、
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あんのこと(2023年製作の映画)

3.5

ドラマとしては物足りない。ノンフィクションとして描いた方が、現実の重さがのしかかっただろう。

障害が次々と起こり、主人公の杏が苦しめられる。
しかし彼女自身が次々来る障害に対して、ハッキリ反発せず流
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ヴィーガンズ・ハム(2021年製作の映画)

3.9

こういうブラックな悪ふざけ大好き!
人肉食ネタはよくあるが、ヴィーガンが食肉になるのが皮肉が効いて面白い。
完全菜食の彼らの肉質は、臭みがなく脂が上質だというww
やれ動物が可哀想やれ自然がどう健康が
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グラディエーターII 英雄を呼ぶ声(2024年製作の映画)

4.0

大作から劇画に。
人物造形も屈折した皇帝からパンクなアホ双子に。
24年の間に倍速視聴のお手軽タイパ客が増えた。同期するように、スナック菓子的な軽さを纏う。
若者に合わせてくるリドスコ御大。ターボババ
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

3.5

本作の主人公は、大(ダイ)ではなく雪祈(ユキノリ)だ。
ドラマは対立・葛藤と言うが、簡単に言うと「揺さぶり」だろう。
テーマや問題意識を内包した主人公が、物語を通じて大きく揺さぶられる。
揺さぶりが大
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10 クローバーフィールド・レーン(2016年製作の映画)

3.8

続編であることがノイズになっていないか。
『クローバーフィールド』と無関係の、単発映画で制作した方が良かった気がする。

交通事故を起こした女性が気付くと監禁されていた。
世界は滅亡。生存者はシェルタ
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