BEEKENY

茶飲友達のBEEKENYのレビュー・感想・評価

茶飲友達(2022年製作の映画)
4.1
2023-04

解説やストーリーの最初のイメージだと
高齢者の売春? ヤバくないか?
少々消極的観賞意欲レベルだったのですが

いやいや うわーーそれぞれシーンがリアル過ぎ
こういうの絶対にあるよね~~
なんという完成度の高い
バランスの取れた作品かと実感
良く悪くもリアル、高齢者の抱える闇と
若者の抱える悩み、高齢者の性の悩み
それをコールガールという視点から
家族というテーマを描いた作品です

こういうネタってなかなかメディアで取り上げにくい
ですし、大人の世界では、ある意味蓋をしておきたい
ですがここはあえてそこに切り込む

いいじゃなないですか
それこそ映画の世界ですよ

この映画の伝えたいメッセージが
ちゃんと伝わってきました

最初に思ったのはこれってまさに
まさに僕らの20年後30年後のことだよね
きっとこうなるよね、、、
同じ悩みや孤独感を感じるそのままのリアル感 
身につまされました
誓い将来こういう社会が訪れるということ
いやもうそういう社会の現実として存在して
いるのでしょうね
それをもうタブー視して蓋をしてしまうことは
できないのです

とにかくシーンすべてがリアル
濡れ場、孤独老人の一人ぐらし
つかれはて生きる意欲もない女性の表情
パチンコにはまって金をせがむ女性
介護3でもコールガールを読んで手を握る男性
そして胸を触らせる女性

もうすべてがフィクションでなくリアルにありそうな
シーンばかりで観ててうなずくしかありませんでした

そして視点をを運営する若者のほうに向けると

責任者のマナをはじめ
みんな悩みを抱えてこの仕事に関わってます
マナ自身もお互いなかなか理解しあえない
病気の母親との確執に意地を張り続け
親のいない女性は望まれない妊娠をするけど
どうしても生みたい、でもお金がない
パン屋を閉めた父との関係に
わだかまりが解けない男性

みんな抱える悩みはそれぞれ

若い彼らも闇を抱えています

そんな生きづらい社会で
マナはみんなのよりどころとして止まり木のような
場所を作ろうとする
それも茶飲友達(ティーフレンド)という
いわばコールガールの組織を作り
新しい価値観作りを目指そうとする
違法かどうかはともかくとして
マナの目指すことは間違ってなかったと思います

最後に思ったことは
言葉は悪いですが
「いい歳こいて何やってるんだこのじーさん」
「ばーさんもういい歳なんだからそんなことできないでしょ」
なんていう言葉はこの映画観れば言えなくなります

世の中のじーさんもばーさんも同じ人間
カッコよくいきたいしキレイになりたいし
恋愛欲も性欲もあり、立派に生きているのです。
いい歳なんだからセックスに興味あるなんて
言ったら恥ずかしいでしょ?
これが今の世の中の世間の常識。
いやいやそんなことはないぞ!と堂々と言えないのが
今の日本の社会。とりわけ高齢者の性に関する
ことは表で語れるムードは全くありません。
高齢者が生きる希望を持っていられる社会じゃななくては
この日本はだめになっていきますよ

世代交代だの若返りなど世の中そんな言葉のもとに
どんどん高齢者を切り捨てていきますが
もう近い将来高齢者の方が大半を占めるのでしから
その老人だらけの社会で抱える闇に蓋をしては
ならないと思います
今の総理大臣だってどこぞのお偉い社長さんだって
どこかのスポーツ監督だって
20年後30年後は老人になって
偉そうなことをいったって
「いい歳した」おじいちゃんになるのです

それを「いい歳して」なんて一言で一蹴してはならないのです


僕は青春群像劇系のリアル作品結構好きですが
これは青春というわけにはいかないけど
現実の高齢者の抱える悩み、怒り、孤独なんかを
そのまんま切り取っていて
人生群像劇ともいうべき作品です

最後の面会のシーン
マナの
「家族ってなんだよ!」
涙ぐんで叫ぶシーン これがこの映画の
メッセージなんでしょうね

非常に共感を得た作品でした
BEEKENY

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