まめだいふく

聖闘士星矢 The Beginningのまめだいふくのレビュー・感想・評価

聖闘士星矢 The Beginning(2023年製作の映画)
3.0
 ペガサスのように羽ばたけなかった実写版聖闘士星矢。

 原作が漫画やアニメの実写映画化には、大きく分けて二つあると個人的には考えている。
 一つは原作を愛するが故のもの。
 もう一つは原作人気に乗じた金儲け目当てのもの。
 前者は例えばフランス版『シティーハンター』。後者はハリウッドの『ドラゴン何とかエボ何とか』。
 で、本作はどっちだろう? うーん、分からん。
 そもそも、なぜ今更聖闘士星矢を実写化しようと思ったのか。『何とかボール何とかリューション』という前科があるため、期待値はしぼむ一方。
 実を言うと、原作ほとんど知らないんですが。
 漫画は読んでなかったし、TVアニメも見たり見なかったり。アニメ見た後に漫画をチラッと読んでみたら、聖衣のデザインが違っていて違和感を覚えたり、氷河の必殺技 ‶オーロラサンダーアタック” が ‶ホーロドニースメルチ” とかわけわかんない名前で驚いたり、スチール聖闘士がアニメオリジナルの聖闘士だと知ってびっくりしたり……と、ストーリー以外の記憶がほとんど。
 あとはファミコンソフトの『聖闘士星矢 黄金伝説』を裏技パスワードでクリアしたくらい。とうきょうとたいとうく……まあ、これはいいか。

 どうでもいい前置きはこれくらいにして、とにかく、そんなに聖闘士星矢に思い入れのないワシが本作を鑑賞したらどう感じるだろうかと思って、何となく観てみた。

 ……いやこれ、誰がターゲットなのか。間違いなく原作ファン向けではない。ところどころに原作再現やオマージュは感じられるものの、世界観がSFチックでこれじゃない感満載。
 子供向けでもない気もするし、大人向けでもない。視覚効果にあまりお金をかけてないのか、CGや合成映像が安っぽい。
 アクションも既視感だらけ。『G.I.ジョー』やら『マトリックス』やらでさんざん同じようなの見てる。
 とにかく、何もかもが中途半端。真剣佑は頑張ってたように思えるけれど、ひとりだけ日本人なのもなんだかなあ。紫龍とか氷河とか瞬が出てくれば良かったんだけど出てこないし、唯一出てきたフェニックスは一輝じゃなくてネロだったし。こっちもジャスティン・チャットウィンで良かったんじゃないか?

 ツッコミどころも多い。散々顔面殴られてるのに腫れもしないし血も出ないし(ある意味ここは原作再現か?)。
 屋敷のあの大爆発で無事で済むわけないし。
 聖闘士は武器を使わないなんて話してるのに、フェニックスは飛び道具使うし。

 良かった点はマイロック。彼はカッコよかった。聖衣とか小宇宙とかなくてもいいじゃない、と思わせてくれる。それじゃダメなんだけど。

 内容的には本当に序章という感じで、続編を匂わすような締め方をしており、邦題通りBeginningなんだけど、おそらくこれにてEnding。
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