Eita

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービーのEitaのレビュー・感想・評価

4.1
端的によくまとまっていて、かつ小気味よく話が進んでいく。マリオ(や任天堂)の定番ネタがふんだんに盛り込まれているのも含め、ある意味ウェルメイドであることは間違いない。

(もしそういうものがあるなら)イルミネーションっぽさは控えめか。ユーモア溢れるキャラクターの描き方のほかに、個人的にはイルミネーションはライティングを効果的に使用して物語を語るのが上手い印象があるのだけれど、特に後者について今回はそこまでそういうのを感じなかったような。

マリオの出自、マリオのマリオたる所以が話の根幹にあったのは良かった一方で、さりとて踏み込んだ描写や驚きはないのをどう捉えるかが評価の分かれ目だろう。とはいえ、そのことが意味するのは「だからこそ誰もが安心して観られる」ということではある。

続きを作ろうとした時、今回のような面白さを観客には期待される可能性が高いけれど、果たしてこの調子で息切れしないかが今後の勝負どころだろう(あるいは方向性をがらっと変えるのか)。




※おまけ
宮本茂はある記事(https://www.itmedia.co.jp/makoto/spv/1002/10/news012.html)で、「よくできたゲーム」と「面白いゲーム」は区別すべきと述べている。今回の映像化が「よくできた(ウェルメイドな)映像作品」であり、かつ観客からも「面白い映像作品」と評価されたのだとして。しかし今後ノウハウを持つイルミネーションと共同ではなく、任天堂単独で映像を製作するとなったときに果たして「よくできた面白い映像作品」となりうるかは、特にRotten Tomatoesの今作のトマトメーターを思い出すと、依然未知数かもしれない。ゲーム事業の不安定さを理由に、IPを横展開して映像事業にも手を広げることで売上の安定性を確保したいという思惑から考えるに、上記のことは今後の任天堂の命運を握っていそう。任天堂とて、今は選ばれる立場あるという、宮本の認識からもそれは察せられる(https://gamecolumn.jp/blog-entry-89059.html)。
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