ロッツォ國友

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービーのロッツォ國友のレビュー・感想・評価

4.7
スーパーマリオブラザーズだぜ!!!
これぞ元祖!俺たちの永遠の原体験!!


あたくし、ゲーム好きを自称していながらスーパーマリオUSAもスーパーマリオサンシャインもルイージマンションも、結局クリアしてません👍👍👍👍
(小学生のあたしにはむずすぎた)


が、やはりみんなの中にある"マリオリテラシー"の全てを掘り起こして喜ばせる、ケチのつけようがないスーパーファンムービーでござんした!!!!

スーパーラフに、書き留めておきましょう。



本作は言わずもがな、ゴリゴリの原作把握前提の作品でありながら「現在生きている人類がほぼ全員直撃世代」という、あまりにも強力なモンスターコンテンツなんすよね。

しかし、ヌルい土俵かと言えばそうでもない。
そもそもがゲームとしてプレイする前提で組み上げられたキャラクターデザインと世界観なのだから、高密度なバックグラウンドや人物描写が用意されているわけではない。
ビッグタイトルにも関わらず、既にある要素を基に単体の物語として見応えのあるものに仕立て上げるにはかなりの工夫と取捨選択が必須の題材と言えるだろう。

外伝的作品にはなかなか深いシナリオのものもある…とは聞くが、さりとて劇場用長編アニメーションに転用できそうな的な方向…とは、ちょっと違うだろうね。


全員が知っている分、落とし所は無限にあるし、且つヒットさせるのが難しい食材だ。
まずこれを照れや寄り道ナシでど真ん中から映画化してエンタメ化せんとするその精神に拍手。
本当に凄い。


そしてその結果は今イチバン話題に上がっている通り、世界的な興収爆発と高評価の嵐を巻き起こしているのだ。

イルミネーションスタジオさん。
スーパースター状態ですよ。
マンマミーア。



まずキャラ造形!!!
完璧ですよねえ……
そもそも作品によってもキャラ造形は微妙に変わるけれど、映画に出てきた彼らにコレジャナイ感は一切ない。

完全にマリオ。
完全にルイージ。
完全にピーチ姫。
以下略。

白人的、ピクサー的なCGアニメーション演技が目につくところもあるにはあるが、キャラ崩壊やガッカリ感は引き起こしていない。
ゲームに出てきた通りのキャラクターを、ちゃんと映画の登場人物として味わえるようになっている!


そして同時に、実写じみたテクスチャ表現を使っていながらもゲーム的な質感は失われておらず、作画的な意味での「リアリティ」と「原作再現度」を完全な形で両立している。
これだけでもう大満足ですよ。

"ゲーム世界をアニメ映画の舞台として再構築するる"という仕事において、完璧としか言いようがない完成度なんですよ。
大拍手。



ほんでさらに度肝を抜かれるのは、世界観設定と原作オマージュの作り込みの深さ・鮮やかさ!!!

マジに星の数ほどある多様で多彩なマリオ作品の数々を、ひとつの物語・ひとつの映画として成立させられるように再編成しつつ、無上のリスペクト(=ファンサービス)を含ませている。

エンタメとして徹底的すぎる。
ただただ脱帽。マリオはほとんど帽子を脱がなかったけれど、我々は脱帽しっぱなしでしたよ。


出し始めたら枚挙にいとまがないけど、物語的な絡みはなくとも所々のディテールが各作品を思わせるデザインになっていたり、BGMが定番のものを使いつつも気の利いたアレンジになっていたり、原作のゲーム要素をストーリーテリング上必要なアクションとしてそのまま登場させていたり、最高級リスペクトのファンサービスを、中毒を引き起こしかねない密度で詰め込んである。

知ってる要素を集めるだけで超楽しい!!

ほんでほんで、オマージュだらけでありながらもお話そのもののテンポや展開は非常に洗練されており、あまりにも完成度が高い。
大大拍手。



色々あるけど個人的に特にグッと来たのは、やっぱりマリオの人物造形でしょうか。

映画の中の彼は、配管工としての成功を夢見るひたむきな男で、愛する弟の為には命懸けで闘う家族想いな兄だ。

原作でもそんなに強調されていない配管工設定をキャラクターの根幹に置きながら、彼の生きる上での原動力がそのまま兄弟愛に根ざしていることをまず提示し、それによって物語を動かしている。

マリオにとって揺るぎない"弟のため"という動機を、キャラクター造形においてもストーリーテリングにおいても不可欠な要素として機能させている。

そして"弟のため"に諦めずに闘い続ける彼の奮闘そのものが、みんなのゲーム画面に登場した通りの、七転八倒を繰り返しながら少しずつ学んで成長し挑み続ける"マリオ"と重なるわけじゃないですか。

文句なしですよ。
彼こそがマリオですよ。
大大大拍手。



製作者が観る者に対して変に説明的にせず、むしろ「伝わらなくてもいいからコレを表現したい!」という純然たるクリエイティブヲタク魂を発露させた作品は、僕の住処のTwitterスラムでは"愛"という言葉を用いて好意的に受け止められる傾向にある。

"原作愛"だとか、"作品愛"だとか、"製作者の愛が伝わる"だとか。
そんな言い回しで、大衆には伝わらないであろうヲタクのメッセージを受け取れた者どもが大喜びしているのをよく目にする。


本作もそんな観点において例に漏れず、特定作品未プレイの人達には伝わらないかもしれない"愛"が大爆発している。

有名どころでいえば、スーパーマリオ64のピーチ城デザインを見ていなかったら、ルイージマンションの冒頭シーンを知らなかったら、マリオカート8以降の反重力飛行のディテールを知らなかったら……興奮ポイントがその分目減りしている…かもしれない。

が、なんかやっぱり、ピンとこないなりにも、演出ひとつひとつにはきっと何かのネタが盛り込まれていて、きっと好きなことを詰め込んだんだろうなと、そういう雰囲気だけ伝わる気もする。

だって、兄弟愛の話だからね。
製作者の"愛"もきっと届くと思うんだよね。


そして当然ながらというべきか、ここにおいてイルミネーションスタジオの強いところは、"伝わらないかもしれないオマージュ"を入れてもヘンな雰囲気にはさせず、ちゃんと見世物としてサマになる映像に仕上げる技術力でしょうね。

伝わらなくても良いんだと思える程の"愛"と、
伝わらなくても理解させる技術があるわけですよ。
これのどこに文句をつけられようか。
大大大大拍手。



あとあと謎に、往年の大ヒット曲がちょいちょい使われていて面白かった(SINGのノリだね???)んだけど、これまたブチ壊し感はないし押し付けがましさもないしで、ほんとに表現のバランス感覚が絶妙なんだよね。

オマージュ要素もあくまでオマージュとしての活用にとどめていて、原作へのノスタルジーに決して寄りかからない味付けに終始しているところが上手いなと思うんすよね。

懐かしのBGMや効果音が多用はされながらもゴリ押しではないし、遊び心としてゲーム画面のような表現とかを入れつつもテンポを損なわせる次元には乗り上げていない。

こういうバランス感、マジでうまいよ。

溢れる"愛"を詰め込んでいながら制御できちゃうんだから、言うことありませんね。
大大大大大拍手。



そんなところですか。
話したいディテールが山ほど出てくるから、映画館で堪能するのもイイが、友達と集まって家でワイワイやりながら観るのもきっと楽しいね。
観終わったらみんなでマリパとかマリカやったら良いんすよ。スマブラでもいいっすね。

何よりマリオのゲームをやった思い出をくすぐられるのが楽しい。

ゲームの経験が作品の味わいになるし、作品を味わった分だけ、またゲームをやりたくなる。
これ、ファンムービーとしては究極の誉れでしょ。
面白かったというより、楽しかったな。


ほんと、良いゲームだぜ。
ごっつぁんでした。
Oki-Doki!
ロッツォ國友

ロッツォ國友