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ダ・ヴィンチは誰に微笑むのpamphmanのレビュー・感想・評価

ダ・ヴィンチは誰に微笑む(2021年製作の映画)
4.0
ダ・ヴィンチの最後の傑作とされる絵画「サルバトール・ムンディ」が史上最高額の4億ドルで落札された出来事を巡るドキュメンタリー。原題はThe Savior for Saleで「売りに出された救世主」だが、日本人に親しみやすいような配慮なのか「ダ・ヴィンチ」の名前が付けられている。
原題と邦題を比較した際に毎回俎上に載せられるのが『カールじいさんの空飛ぶ家』の英題が"Up"だという話題。淡白なタイトルは実際多くて、ケンローチの短編「Happy Ending」でも普段映画を見ない父子がタイトルでどんな内容か判断できず、戸惑う描写があったけど、それに比べれば悪くない邦題にも思える。

原作のノンフィクションは400ページを超えていて、結構端折られている。例えば、こ私はの絵画がなぜアメリカのルイジアナにあったのか気になったのだけど。省略されている。ここまでの流れついた過程にもドラマがある。パンフには美術関係に詳しい人物が選ばれていて、参考になるけれども詳しく知りたい人、原作を読んだ方がいいと思う。

例のごとく、ドキュメンタリーにありがちな、トーキング・ヘッズと揶揄される画面に映る誰かの上半身が何かについて語り、その間に関係な映像が挟み込まれる構成だけど、飽きさせない工夫はされていた。そもそも語られる事実が驚きの連続で、退屈はしない。今年公開の『サマーフィルムにのって』では時代劇や恋愛映画に感化されて、映画を撮るようになる高校生が描かれていたけれど、本作を観て映画を撮りたいと思う人はほとんどいないだろう。
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