※B級スプラッタ及び、人間関係が滅茶苦茶になる映画を期待している方には残念なお知らせ※
この映画の登場人物は皆お互いがお互いを支え合えるくらいには強かで善良である。
※お知らせ以上※
こんな時くらいにしか集まれない程度には仲の悪いメンバーなのに、集まったら集まったで楽しくて愛おしい。……だけれど彼らには「明日」が無い。というか諦めている。だから今日が楽しい。そういう映画だった。
くせ者が集った割にはアッサリと終わったな、と思うのはミストやメランコリアを先に見てしまったが故かもしれない。
話は変わるが、平日の昼間にしては盛況だったので、同時期公開の人気作と間違えられているのではないかと思った。
端的に言うと居心地が悪かった。
周りにいるのは明らかにこういう悪趣味な映画を好んで見るような人たちではなかった。
では何故?
物語が中盤に差し掛かったあたりでふとその理由に思い至った。至ってしまった。緊張で背中には冷や汗をかき、ジンジャエールはみるみるうちに胃の中へ消えていく。
私だけだった。
「この映画なかなか人が死なねえな〜」とか「電波っ子もう少し活躍してくれないかな?」とか「今めちゃんこ衝撃的な告白をしませんでした!?」とか考えながら映画を見ていたのは、恐らく私だけだった。
あの瞬間この映画は、劇中でいうところの“ピル”そのものだった。
劇場内が明るくなると半数の人間が幻のように消えていた。
うん、とても……面白かった。