くろさわ

親密な他人のくろさわのレビュー・感想・評価

親密な他人(2021年製作の映画)
3.5
第34回東京国際映画祭にて観賞しました。

行方不明になった息子を探すため、掲示板で情報収集する女性に、ある日息子と同い年くらいの男性から息子の情報を提供すると連絡を受けた。その後、その男性を何度が会う中で行き場がないことを知り、息子の部屋に住ませる展開になるが。。。。

監督は最近までドキュメンタリー映画を数多く取られていた中村 真夕監督。

14年間ほど海外で暮らされていた監督は世界の中でも、特別日本で多発しているオレオレ詐欺に注目していたらしい。
また、監督自身が30歳を超えた時に、最近の邦画は若い人が主人公の映画多く、大人が主役の作品が見たいと思い、大人の女性が主役の作品を作る気持ちが強かったらしい。
中村真夕監督から放たれる言葉には飾られた雰囲気が無く、いつまで話を聞きたくなる魅力的な監督だった。


冒頭の風呂場シーンから始まり、作品全体のモノトーン系の色彩、洗濯機や換気扇など家電系の音の主張から生み出される奇妙な狂気が漂う。
言うなれば嫌な空気。楽しくない空気。
しかし、物語が進むにつれてその空気の理由が少しずつ解けていんやけど、ラストを迎えた時は狂気が舞い戻っていた。
最近見た邦画のスリラー系だったら、一番かもしれない。恐ろしいは中村真夕監督。

主役の黒沢あすかさんが、不気味な雰囲気を持ちながら大人の色気も出すという狂気的な俳優さんなのがまた素晴らしい。
中盤の風呂場のシーンとか、不気味な要素で溢れていた。

空耳かと思うくらいに聞こえる赤ちゃんの声、全体の色の使い方、密室の家を表現、そして何より息子を探す女性と、情報提供者として出会った若者のそれぞれの家族背景など、非常に上手く組み合わさっていて面白かった。

上映後のQ&Aセッションも最高だった。

やはり上映後に遠慮なく拍手できるって素敵だ。