このレビューはネタバレを含みます
NHKドラマ版を見た。
チェーホフは
「悲劇は死ぬことではなく、生きることにある」と言った。
日本にいるクルド難民はまさにそういう状況。
ウクライナから引き受ける人々は「避難者」とか「避難民」と呼び、
「難民」と区別するこの国。
しかし、わが国は外国人労働者なしでは経済が成り立たない。実態は世界有数の「移民大国」である。
アイデンティティについて悩み傷つく主人公。
この国においてはクルド難民だけの話ではない。
たわいもないラーメン屋での会話シーンは
とても印象的。
どこにでもある小さな幸せがここに。
なのに、なぜこの一家が引き裂かれなくてはならないのか。
呆然と見つめる夕暮れの街。
途方に暮れるまま物語は終わっていく。
映画は終わるけど現実は終わらない。
何も変わらない。
苦しみの日々がただ続くだけ。
このままではいけない
何か行動しなくては
と誰もが胸を掻きむしられる
静かで強烈なラストシーンである。