づかし

マイスモールランドのづかしのレビュー・感想・評価

マイスモールランド(2022年製作の映画)
2.6
日本で育った1人のクルド人の女子高生を通して、『難民認定を受けられなかった外国人』が直面する厳しい現実を描く。難民問題の一面を知ることへの入口となり得る作品。

日本の難民受け入れの基準が厳しいことは事実ですが、基準が厳しい背景等、入国管理局サイドは全く描かれず、『日本は冷たい国なんだ』といった程度の低い、偏った認識を広めるだけで、事実を“知る“というよりも監督らスタッフの視点での意見を押し付けられているようなという感覚に近いものもありました。在日クルド人の犯罪率等も調べてみるといいかと思います。


他の人が普通に過ごしている傍ら、音も立てずにでも確かに崩れていく自分たちの“普通“。

「難民申請が通らなかったことにより直面する数々の問題」全体に焦点を当てているため、順に明らかになる問題一つ一つに触れていく物語です。

今どき口にする人もいないだろうというようなセリフがあったりと、設定やセリフのところどころに不自然さは感じられますが、それらも含めて良くも悪くも映画に込められたメッセージがわかりやすく描かれています。

内容の面では、難民からの視点のみで描かれており、社会問題を描く作品というよりは、制度批判あるいは社会風刺がしたかっただけというような作品で非常に残念でした。

この手の話は「良い」「悪い」で、あるいは「正しい」「間違い」で一概には決められないと思いますので、もう少しフラットに描かれていたらより良かったかもしれません。

完成披露試写会にて。
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