フジタジュンコ

クナシリのフジタジュンコのレビュー・感想・評価

クナシリ(2019年製作の映画)
-
北方領土は日本の領土です!

わたくし道産子、北の大地で育つ過程でかようなキャッチフレーズがそこかしこにあったことと、マイメンのルーツが国後島にあることで、それなりに興味と関心を持っていたのですが、今まで北方領土の何を知っていたと思いこんでいたのか…

おそらく大変な制限の中で撮ったのだろうと思われる。映画としては若干地味で、退屈なシーンも多く、視点の置き方が試される、難しい作品。ではあるが、国家、民族、領土、戦争、商業…政治によって分断され、こぼれ落ちていった人々の現在が垣間見えるのは貴重である。トイレすら整備されておらず、ゴミだらけで、ブタも牛も放置されている。墓石は草に埋もれ、湖に打ち捨てられ、墓地の上を住民が歩く、その情景はショッキングでもある。

この「クナシリ」の続編である「ネムロ」が準備されている、とのことで(「ネムロ」は北海道の根室町で撮影するとのこと。次は北方領土を日本のがわから見た作品になるのかもしれない)、映画としては2本を通して完成なのかなと思う。そのためスコアはなしで。とにかく次の「ネムロ」を見たい。ともあれ、まずは皆さんに「クナシリ」をぜひ見ていただきたい。